1-56 少し
「少し、疲れた?」
トーチライトさんから、お気遣いのお言葉が。
「いえ。大丈夫です。まだまだ、しっかりがっつり元気爆発ですよ」
ふんすのポーズで元気っぷりをアピールしていたら、トーチライトさんが、無理しなくてもいいのよ、と言った。
うーぬ。
「……まぁ、はい。少し疲れました」
ここは素直に頷いておこう。身体の節々が痛いというような疲れ方ではなくて、なんかこう、気持ちが疲れているというのか。
「今日はもう、このあとにあなたがしなければならない予定はないから、ゆっくり、お風呂に入って寝てしまいなさい」
うっす。
「お風呂の入り方は、説明を受けた?」
「はい。グリーンリーフさんに、お部屋を案内して頂いた時に」
「だったら、大丈夫ね。あとは……」
なんか、ありますでしょうか。
「そう、あなたの部屋の前に、荷物が幾つか届いているはずだから、その確認をしないといけないんだった」
荷物。
「支給品のお洋服とか、そのへんですかね?」
「ええ。早いほうがいいでしょう?」
そっすね。助かりますです。
「それじゃあ、行きましょうか」
うぃ。
あ。
「あのー、トーチライトさん、質問なのですが」
「質問?」
うぃ。
「何かしら」
「この、蛍光灯って、このままでいいんですか? 消し方というか、そういうのは」
光らせるというか、起動方法、とでもいえばいいのか。そのやり方は分かったけれど、これって、点けっぱなしではたしていいのかどうか。
「この建物の蛍光灯は、規定の時間が来ると自動的に消えるから大丈夫だけど……」
ほー、そんな機能が。
「でも、そうね。宿舎の蛍光灯は、自分で消さないと、そのままになるわね」
簡単よ、とトーチライトさんが続けた。
「さっきと同じで、また、魔力を少し、送り込めばいいの」
ほーほー。
「えーと、試してみてもいいですか?」
「もちろん」
では、しからば……ぴとっと触ると、お、ちょっとあったかい。
それでは、ほい。
「……おー」
ゆっくり、じわっと、蛍光灯から光が消えていった。
んむ。これでよし。




