1-54 転生者の方々は
「転生者の方々は、転生直後は、能力値は最小値に近い値の場合が多いから、気にしなくても大丈夫よ」
あー。能力値。
「腕力とかに関わりそうな能力値って、何になるんですか?」
「体力、かしら」
私の体力って、どれぐらいだったのかな。何回も見たはずだけど……あ。
「私、全ての能力値が4だった気がします」
そうだったわね、とトーチライトさんが言った。
「そんな数字だったと思う」
身分証を作る時、見てもらいましたもんね。私のステータス情報。
「4という数字は、低い方なんですか?」
「低いというか、最小値ね。基準になる数字でもあるんだけれど」
……最小値。
「あ、ステータス情報での表示上の最小値ね。生まれたばかりの子とかは、もっと低いと言われてるけど、端末宝珠が反応するようになるのは十五歳からなのよ」
それは、十五歳の子たちの最小値、ということですか?
「十五歳までには、何らかの習得技能の技能階梯が1になるぐらいには、習得値は蓄積できているから、技能要素の影響で、能力値が少し、上がってる場合が大半なの」
あー、技能要素って、能力値が高くなる効果があるんですか。
「効果は色々だけど、武術の鍛錬をすれば、体力はつくでしょう? 例え、子供であったとしても」
「なるほど。確かに」
そうか。技能要素の効果も、普通に考えればそうなる、という感じのものなわけか。
「さ、中に入りましょうか」
「そっすね」
受付前は、ぼんやり明るい。窓から星明かりが入り込んでいるのもあるのだろうし、暗い環境に私の目が慣れたせいもあるかも知れない。
光の球を連れてトーチライトさんが壁際の方に向かい、壁と一体化している柱の中ほどにある、細長いガラスのようなものに触れると、光が灯った。




