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銀のペンダント  作者: 上村文処
エピソード1 転生~ステータス画面~戦い
27/1011

1-27 プリン

 プリン、おいしかった。


「おいしいものが食べられるのって、幸せですよね」

「そうだな」


 食器を返す時、おいしかったですー、とおばさんとおじさんにご挨拶したら、おばさんはまたおいで、と言ってくれた。おじさんは、少し気難しい人なのかと思ってたけど、おぅ、と大きな声で返事が返ってきた。

 なんだろう。なんか、とてもいい人たちだな、と思った。

 あ、そうだ。


「コールズさん、質問です」


 食堂を出て、あれこれ説明を受ける場所に向かう途中、思い出したことがあった。


「なんだ」

「この建物への出入りって、色々、制限があるんですよね?」


 武器を預けるとかどうとか。ガロウさんは特別だ、とかそんな話がありましたけど。


「職員含めて、出入りは管理されているな」


 ふむ。


「魔法で、ですか?」

「いや。受付があって、そこに名前を書く。職員の場合は、誰がいて、誰がいないかを記録するノートみたいなもんがある」


 なるほど。


「あのー、私って、自由に外に出たりとか、できるんですかね?」

「当面は、付き添いの人間と一緒に行動することになるだろうな」


 そうなのか。


「今後のお前についての話の続きにも関係するが、一通り、この世界の常識についての説明が終わったら、就業訓練があるからな」


 就業の訓練ですか? 職業訓練ではなく?


「職業に就くために必要な常識を理解してもらうための訓練だが、お前自身を、この町の住人に紹介するという意図もある」


 ぬん?


「住人への紹介というのは?」

「色々なバイトを経験してもらって、その中から、自分に合いそうな仕事を選んでもらうことになるんだが」


 はへー。そのバイトで、この町の人たちとお会いすることになる、と。


「そうだ」


 なるなる。


「この就業訓練が終わるまでは、外出時は職員の誰かがお前に付き添うことになる」


 なんか、細かく面倒を見てもらえるんですね。


「まぁな」


 コールズさんが立ち止まった。


「この会議室で、しばらく待っていてくれ。担当者が来る」


 了解です。


「とりあえず、俺はここまでだ。ま、見かけたら気楽に声をかけてくれ。遠慮するなよ?」

「はい。なんだか色々とありがとうございました」


 気にするな、と言って、コールズさんが片手を上げ、去っていったのを見届けてから、私は会議室に入った。


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