1-26 私は
「私は、そういうのは知らないままでいたいですねー」
「そうか」
そう言ってコールズさんが少し笑った。
「他に、なんかあるか? 思いつかないなら、今後の予定の話に入るが」
「そうですねー」
聞きたいことは、なくはない。でもそれが、今、聞くべきことなのかどうかが、分からない。
なので。
「特にないです。この世界のことは、教えてもらえるんですよね?」
「無論だ」
私は私で、考え込むのはもう少し、先にしよう。
「飯が終わったら、そうだな、お前が寝泊まりするところの話と、今後、三ヶ月、支給されるものについての説明がまずはある」
ほーほー。
「あとは、前世では男だったにしても、今のお前は女だからな。女としての生活の、なんだ、あれこれをだな」
そういえば、目が覚めた時にコールズさんが、そんな感じのことを言っていたような。身体の変化について、担当者から説明がどうとか。
ようは、小学校の高学年になったら、男女に分かれてやるあれですか。
「まぁ、そんなところだ。それが終わったら、この世界についての説明だ」
どんな国があるのか、とか、全く、分かってないですし。そもそも、国という概念があるのかどうかさえ分からない。
あ!
「どうした」
「ここ、町ですよね?」
「あぁ」
「なんて名前なんですか?」
さっき見た、とてもきれいな景色の、この場所の名前は。
「フェザーフォールだ」
フェザーフォール。羽が落ちてくるんですか?
「俺たち転生者がこの世界に現れる時、光が空からゆっくりと、羽みたいに降ってくることから名づけられた、そうだ」




