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銀のペンダント  作者: 上村文処
エピソード1 転生~ステータス画面~戦い
23/1011

1-23 はいラー

「はい、ラーメンセットね」


 おばさんがそう言って、コールズさんのトレイにラーメンとチャーハンを置いた。チャーハンは、量が多め。メニューには、小チャーハンと書いてあるけど。


「もしかして、大盛りとかもできるんですか」

「銅一でな」


 どういち? あ、銅貨一枚。

 食券と一緒に銅貨を一枚、カウンターに置いたコールズさんが、すぐ近くのテーブルに向かった。


「こっちはお嬢ちゃんのカレーセットね。それと、」


 おばさんが、私からは見えない位置にあるらしい、棚的なところから取り出したものは。


「プリンね」


 わーい。おー、焼きプリン。


「えーと、食券一枚と、銅貨二枚ですよね?」


 おばさんがにこにこしながら頷いたので、エプロンのポケットから食券一枚と銅貨二枚を出して、私もコールズさんにならい、カウンターに置いた。


「はい、ごゆっくり」

「どもです」


 トレイを持って、コールズさんの……隣りに行くべきか、それとも向かいに座るべきか。


「どうした。早く座れ」


 向かいに座ろう。よいせっと。

 さて。

 この、カレーセットなわけですけど。


「本当にカレーなんですね」


 具材が溶け込んでいるタイプのカレーで、ご飯は白米ではなく、玄米的な何かなのか、色が少しついている。サラダは、キャベツの千切りと……アスパラ?


「見た目は近いし味もだいたい同じだが、食材に使われているものは違ったりするからな」

「へー。すいません、そこのドレッシング、取ってもらっていいですか」

「ほら」


 どうもどうも。

 ……ドレッシングとかも、置いてあるのね。


「この、器とかお皿とかコップとかは、陶器ですよね」


 茶色系の陶器たち。


「食器は陶器か、木製が多いな」


 おばさんが付けてくれた、スプーンとフォークは木製。

 椅子やテーブルも木製。建物は石を組んだもの。コンクリートとか、鉄筋とかは、ない、のかな。

 ふむ。


「こう、前世の世界っぽさが、すごく限定的というか」

「この世界にあるもので再現するしかないからな。ないものも多いさ」


 水取ってくる、と言って、コールズさんが立ち上がった。


「お前の分も持ってこようか?」

「いえ。飲み物ありますので」


 氷が浮いてるミルクティー。ストローはさすがにないらしい。

 む?


「水? 飲める水ですか?」

「先に言っておくが、水道があるわけじゃないからな」


 ですよね。あ、カウンターに置いてある陶器のポット的なものから自分で注ぐのか。

 戻ってきたコールズさんが、手に取ったお箸も木製。割り箸とかは、ない。

 それはそれとして。

 うーむ。


「なんだ」

「醤油ラーメンですか」

「言いたいことは分かるが、とにかく、気にするな。受け入れろ」


 焦がした醤油の匂いが。チャーシューのようなもの、も、のってる。

 次はラーメン食べてみよう。

 いや、待て。


「私、この食堂、普通に使ってますけど、いいんですかね?」

「食堂は食券があれば誰でも使える。職員専用ってわけでもない」


 コールズさんが視線を向けた先に、先客のリザードマンさんがいた。

 あ、立ち上がった。食器を返すのかな。

 ぬ?


「……こちらにいらっしゃるようですけども」

「知り合いだからな。人材派遣会社の社員だよ」


 人材派遣会社?


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