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銀のペンダント  作者: 上村文処
エピソード1 転生~ステータス画面~戦い
20/1011

1-20 コールズさん

 コールズさんが、よし、と言ってソファーから立ち上がった。


「飯食いに行くぞ」


 さすがに、この唐突な感じにも慣れてきた。


「支部長はどうしますか?」

「私は、報告書を書かないといけないから、二人で行ってきて」


 えー、あのー。


「私、お金ないっす」

「気にするな」


 いやいやいやいや。


「気にしますよぅ」

「こっちで持つ。当面の生活費その他は、組合から支給される。安心しろ」


 あ、そういうことになってるんですか。


「ずっと無職というわけにはいかないけどな」


 でしょうね。むーん、仕事かー。


「まずは、この世界に慣れることから始めろ。そのために、組合の方で用意していることも色々ある」

「それはとても、助かりますです」


 まだ良く知らないですしね。この世界のこと。


「ともかく、まずは飯だ。細かいことは、そのあとだ」


 ご飯食べながら、コールズさんにあれこれ聞いてみるのも、ありか。


「心配しなくても大丈夫だから。あなたの、この世界でしたいこと、とても素敵なことだと私は思います」


 ほ?


「いや、でも、まー、あのー」


 えー。


「いいんですか? 私の〈ステータス画面〉のこと。自分で言うのもあれですけど、私、この世界の仕組みから、こう、外れてますよね。確実に」

「それは、そうね」


 はっきり頷かれた。


「でも、そうね……ブロッサムさんがもう少し、こちらの世界に慣れてから、その辺りのことはお話しましょうか」


 そう言ったトーチライトさんは、何かを考え込んでいるように見えた。

 うーむ。


「ほら、立て。行くぞ」

「あ、はい」


 あ。


「窓、開けたままでした。すいません」


 立ち上がって窓を閉めに行こうとしたら、そのままでいいわよ、とトーチライトさんに言われた。


「私も、久しぶりに外を眺めてみたくなったから」

「そうですか」


 吹いてきた風が、一つにまとめて胸元に落としているトーチライトさんの栗色の髪を揺らす。

 絵になる人だなーと思って見ていたら、少し強めの風が吹き、今度は私の額に直撃した。

 やっぱり、前髪、切り過ぎたか。


「ああ、額で風を感じます」


 そう言ったら、トーチライトさんがちょっとだけ笑ってくれたので、なんだかほっとした。


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