3-22 落ち
落ち着かぬ。
馬車が止まったのは、城門を抜けてすぐのところにある中庭。噴水なんかもあったりして、そしてその噴水には鹿威しがあったりもして、わけが分からなかったけれど、そういうものだから諦めて、とバードランドさんに言われたのは、伏線だった。
・中庭から続く正面玄関を抜けると、広間になっている
・正面の左右に階段があって、弧を描いて屋内テラス的なところに続いている
ここまでは、前世の知識も納得の、西洋風のお城のイメージだった。
・天井からは、大量の蛍光灯がぶら下がっている
なんか、もやしが生えてるみたいに見えて、台無しだ。
これも、そういうものだから諦めて、ということらしい。
でもまぁ、そこまでは良しとするにしても。
「西洋風のお城の中に、畳敷きの、ものすごく広いお部屋があるのは、私は絶対に納得できないです」
「私も同じだから」
いや、抹茶ケーキはおいしいですけども。
「時代劇とかで、殿様が上座に座ってるような、あんな感じの広間ですよね、ここ」
「うん」
広間の真ん中に置かれたちゃぶ台を挟んで、向かい合わせに座る私とバードランドさんのすぐそばには、丈の長いスカートを穿いたメイドさんが正座で控えていて、時々、急須で玄米茶を注いでくれる。
玄関に入ってすぐの広間にある階段を上がって、辿り着いた屋内テラス的なところにあるドアが、ものすごく大きな障子戸だった時点で、きな臭いとは思ってた。
「先々代の趣味なんだって」
「おぅ」
「あと、ここ、建前上はお城じゃないからね」
「見た目、お城ですよね」
「小さいけどね。グレイルにある王城は、もっと大きいから」
グレイル……グランスローン王国の、王都だったっけか。
あ、絵で見たやつだ。
ふーむ。
「建前上、ですか」
「うん。色々ね」
色々かー。余計な詮索はしないでおこう。




