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銀のペンダント  作者: 上村文処
エピソード3 先輩~子供~祈る
195/1024

3-22 落ち

 落ち着かぬ。

 馬車が止まったのは、城門を抜けてすぐのところにある中庭。噴水なんかもあったりして、そしてその噴水には鹿威(ししおど)しがあったりもして、わけが分からなかったけれど、そういうものだから諦めて、とバードランドさんに言われたのは、伏線だった。


・中庭から続く正面玄関を抜けると、広間になっている

・正面の左右に階段があって、弧を描いて屋内テラス的なところに続いている


 ここまでは、前世の知識も納得の、西洋風のお城のイメージだった。


・天井からは、大量の蛍光灯(ケイコウトウ)がぶら下がっている


 なんか、もやしが生えてるみたいに見えて、台無しだ。

 これも、そういうものだから諦めて、ということらしい。

 でもまぁ、そこまでは良しとするにしても。


「西洋風のお城の中に、畳敷きの、ものすごく広いお部屋があるのは、私は絶対に納得できないです」

「私も同じだから」


 いや、抹茶ケーキはおいしいですけども。


「時代劇とかで、殿様が上座に座ってるような、あんな感じの広間ですよね、ここ」

「うん」


 広間の真ん中に置かれたちゃぶ台を挟んで、向かい合わせに座る私とバードランドさんのすぐそばには、丈の長いスカートを穿いたメイドさんが正座で控えていて、時々、急須で玄米茶を注いでくれる。

 玄関に入ってすぐの広間にある階段を上がって、辿り着いた屋内テラス的なところにあるドアが、ものすごく大きな障子戸だった時点で、きな臭いとは思ってた。


「先々代の趣味なんだって」

「おぅ」

「あと、ここ、建前上はお城じゃないからね」

「見た目、お城ですよね」

「小さいけどね。グレイルにある王城は、もっと大きいから」


 グレイル……グランスローン王国の、王都だったっけか。

 あ、絵で見たやつだ。

 ふーむ。


「建前上、ですか」

「うん。色々ね」


 色々かー。余計な詮索はしないでおこう。


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