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銀のペンダント  作者: 上村文処
エピソード3 先輩~子供~祈る
194/1024

3-21 うん、だ

「うん。だって、私、結婚してるよ?」

「いや、それは、そうですけど」


 でも、あの。


「お子さんですよ?」


 それってつまり、なんというか。


「あのー、男性と、なんだろう、えーと、はっはほへほへ、しないと駄目じゃないですか」

「はっは、ほへほへ?」


 あー、ぬー。遠まわしに言ったつもりだったんですが。

 が。


「そのー、殿方と、まぐわうという意味です」

「その言い方やめて」


 いやー……。

 はっはほへほへは、私は無理だなー。


「ヨリコちゃん、独特の言葉遣いをするよね」

「はっはほへほへのことですか?」

「やめて。意味が分かった上で聞くと、なんか、私が恥ずかしい」


 いや、私だって恥ずかしいですよぅ。

 ……そうか。子供が産めるようになるんだよな。私も。恐らくは。そうだった。

 うーん。

 ま、困った時は、先送り。


「この話は、やめましょう」

「そうだね、その方が私もいいと思う」


 ええ。で。


「娘さん、五歳なんですか」

「うん。子供の成長って、あっという間だよ」


 はへー。


「そろそろ、うちに着くからね。その時にちゃんと、ヨリコちゃんにご挨拶させるから」

「おー。私、こちらの世界でお子さん見るの、初めてかも知れないです」


 魔物(キメラ)警報が出ているからだと思うんだけど、子供の姿を街中で見かけたことがない。


「警報が出てるから、さすがにこの時期は、子供たちを家の外に出すのはね。危険があるわけじゃないんだけど」


 雰囲気的に、そういうことをするのは、(はばか)られる、と。


「うん」


 うーむ……あ、馬車が止まった。

 そして音もなく、開くドア。御者さんのお仕事が素早い。


「さ、降りましょ。ようこそ、ヨリコ・ブロッサムさん」


 バードランドさんに続いて馬車から降りた私が見たものは――。

 城だった。


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