3-21 うん、だ
「うん。だって、私、結婚してるよ?」
「いや、それは、そうですけど」
でも、あの。
「お子さんですよ?」
それってつまり、なんというか。
「あのー、男性と、なんだろう、えーと、はっはほへほへ、しないと駄目じゃないですか」
「はっは、ほへほへ?」
あー、ぬー。遠まわしに言ったつもりだったんですが。
が。
「そのー、殿方と、まぐわうという意味です」
「その言い方やめて」
いやー……。
はっはほへほへは、私は無理だなー。
「ヨリコちゃん、独特の言葉遣いをするよね」
「はっはほへほへのことですか?」
「やめて。意味が分かった上で聞くと、なんか、私が恥ずかしい」
いや、私だって恥ずかしいですよぅ。
……そうか。子供が産めるようになるんだよな。私も。恐らくは。そうだった。
うーん。
ま、困った時は、先送り。
「この話は、やめましょう」
「そうだね、その方が私もいいと思う」
ええ。で。
「娘さん、五歳なんですか」
「うん。子供の成長って、あっという間だよ」
はへー。
「そろそろ、うちに着くからね。その時にちゃんと、ヨリコちゃんにご挨拶させるから」
「おー。私、こちらの世界でお子さん見るの、初めてかも知れないです」
魔物警報が出ているからだと思うんだけど、子供の姿を街中で見かけたことがない。
「警報が出てるから、さすがにこの時期は、子供たちを家の外に出すのはね。危険があるわけじゃないんだけど」
雰囲気的に、そういうことをするのは、憚られる、と。
「うん」
うーむ……あ、馬車が止まった。
そして音もなく、開くドア。御者さんのお仕事が素早い。
「さ、降りましょ。ようこそ、ヨリコ・ブロッサムさん」
バードランドさんに続いて馬車から降りた私が見たものは――。
城だった。




