3-18 しゅっ
しゅっとしたお顔のお馬さん、二頭立てで引いてくる馬車は、素人目に見ても立派というか、お金がかかってそうな雰囲気があった。
きらきらぴかぴか、というのではなくて、職人が細部まで手をかけました、という方向での、お金がかかってそうな、あれ。
「あの馬車でいいんですよね? バードランドさん、ご所有の馬車は」
「そうね」
トーチライトさんも一緒に、バードランドさんを待ってくれることになった。時間は午前九時の五分前。トーチライトさんは背が高いので、少し見上げる感じになるけれど、横目でちら見をしたら、随分と、疲れているように見える。
馬車が第三支部の建物の手前で止まった。御者さんが降りて、馬車のドアを開けるまでの流れがスムーズ過ぎて、びっくりした。
そして、ひょこっと顔を出したバードランドさんが、お上品なもろもろの印象を全て台無しにした。
若干、レインツリーさん感が、バードランドさんにはあるような気がする。
「ヨリコちゃん、おはよう。エレノアも」
「おはようございます」
ぺこり。
「おはよう」
馬車から降りてきたバードランドさんへの、トーチライトさんの会釈の感じからすると、お二人はとても親しい間柄に思える。
「ブロッサムさんをお願いね」
「大丈夫。分かってる」
今日のバードランドさんも、昨日と同じく、ドレスっぽい服だった。うーむ。
「あのー、ほんとにこの服でいいんですか?」
「うん、平気」
バードランドさんの口癖は、平気、なのかな。
「こういう服が普段着みたいなものだから。昨日のよりは、カジュアルなやつなんだけどね」
ほへー。
「ね?」
「そうね」
そうなのか。
「さ、ヨリコちゃん、乗って」
「えーと、私から先にでいいんですよね?」
「そういうの、気にしなくていいから」
あわあわしつつ、トーチライトさんの方を見たら、大丈夫よ、行ってらっしゃい、と言われてしまった。
「では、失礼しますです。あ、お疲れさまです」
馬車のドアの近くに立っていらっしゃる御者さんにも、へこへことご挨拶を。
ベテランな感じの人だ。
「どうぞ。お足元にお気をつけて」
爽やかな笑顔で促された。




