3-16 しかもダ
しかもダブルぽろり。
「身体を伸ばすのも駄目か」
エプロンを引っ張り上げて、顔を出していた胸を隠した。
で。
「良く分からないのは、こっちだよなー」
魔力鍵。
園芸用品置き場の、隠し扉を開くための、鍵、ということは分かる。
分からないのは。
「謎の文字の組み合わせの方」
まぁいいや。展開してみよう。
「ほい」
|●魔力付与【魔力鍵28akd03igKK2】1
|魔力錠[28akd03igKK2]を、同錠の規
|定条件に基づき、開放する。認証許可
|対象数は、強度の数値に同値。
|
|許可対象:ヨリコ・ブロッサム
|
「私の名前が書いてある」
許可対象が私、ということは、このエプロンを他の人が着ていても、隠し扉は開かない、とか、そういう感じか。
うん。こっちは何となく分かる。レインツリーさんが、そうしてくれたんだろう。
もしかしたら別の人かも知れないけど、レインツリーさんのような気がする。
「で、あるけれども」
・[28akd03igKK2]とは何か
「……スクリプトプラグインのマニュアルに出てくる、識別票番号、というやつかな。もしかして」
前世の世界風に言うと、識別IDとかそんなやつ。
・園芸用品置き場の奥にある隠し扉には、魔力錠というものが設定されている
・その識別票番号が、[28akd03igKK2]
・魔力鍵は、対応する識別票番号に対して、作用する
「同錠の規定条件に基づき、というのは」
・魔力錠[28akd03igKK2]に設定されている条件に従って、という意味
だとすると。
「レインツリーさんが、魔力鍵が近づくと隠し扉が解放されるように、条件を設定した、ということか」
隠し扉に設定されている魔力錠が、識別票番号を持っているのはいいとして、私の名前自体にも、識別票番号があるはずなんだよな。スクリプトプラグインのマニュアルに書いてある通りだとすると。
・個人名に結びついている識別票番号がなくても、なんか、設定する方法がある
あるいは。
・レインツリーさんは、個人名に結びついている識別票番号を知る手段を持っている
どっちか。
なんとなく、前者のような気がする。けど。
「分からん」
これ以上の考察は、私の手に余る。というか、既にはみ出してるし。
我が暴れん坊シスターズのように。
「今度は左かよ」
戻して、と。
結論。
「細工師のエプロンとは」
・習得技能〈宝飾細工〉を少しだけ、覚えやすくしてくれる
・園芸用品置き場の奥にある隠し扉を、開いてくれる
・隠し扉の開放については、私専用
というもの。
「うむ」
便利。




