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銀のペンダント  作者: 上村文処
エピソード1 転生~ステータス画面~戦い
18/1011

1-18 さて

 さて。どうしようか。

 トーチライトさんとコールズさんが、何やら重苦しい雰囲気で、再び、私のステータス情報に見入っている。

 ここは景気づけに、あれを。


「ばいんばいん」

「何やってんだ、お前」


 ふむ。


「いえ、なんだかお二人とも、雰囲気が重いと言いますか」


 トーチライトさんが力なく笑った。


「気を遣わせてしまったみたいね」

「いえ。ばいんばいんしたかっただけなので。私、ばいんばいんガールですから」


 記録に残れ。私の奇態なこの言動。


「……さっきの話の続きなんだけど」


 あ、なかったことにしたっぽい。


「私の固有技能(ギフト・スキル)の、技能階梯(スキル・ランク)の話ですよね。あと、技能点(スキル・ポイント)がどうとか」

「この世界の、仕組みの話、ということになるかと思うけど」


 長くなるけれど、と改めて前置きされて、ソファーに戻ってトーチライトさんがしてくれた説明は本当に長い話だったので、私なりに頭の中で要約してみると、こんな感じになった。


技能(スキル)には習得値(ラーニング・スコア)というものがある

習得値(ラーニング・スコア)が一定の値以上になると、技能点(スキル・ポイント)を使用して、技能階梯(スキル・ランク)を上昇させることができる

技能階梯(スキル・ランク)ごとに、何ができるのかを表す技能要素(スキル・エレメント)というものがある

技能階梯(スキル・ランク)の上昇は、端末宝珠(ターミナル・オーブ)の力を借りて行なう


 で。


習得値(ラーニング・スコア)は、対応する技能(スキル)を使うことで上昇する

技能点(スキル・ポイント)は、種族により異なるが、人間であれば、レベルの上昇により1点ずつもらえる


 さらに。


・全技能(スキル)習得値(ラーニング・スコア)の合計値が規定値以上になると、レベルが上昇する

・つまり、複数の技能(スキル)を育てていった方が、レベルが上がりやすい


 むーん。

 これって、当たり前のことのような気がするんですけど。


「頑張ると、できることが増える、ということですよね? 努力は裏切らない、というか」

「そういうことだ」


 あー、だから、簡単じゃない、と。技能点(スキル・ポイント)を使うだけで、ほいほい技能(スキル)が強くなるわけではない、ということですか。


「そうだ」


 そうなってくると。


「私の〈ステータス画面〉の、100という数字は、確かに異常ですね」


 この仕組みを色々な面で無視してる。


「なんだか頭の中がぐるぐるしてきましたよ」


 そう言って胸元に手をやり、ばいんばいんした時に左側に寄った銀のペンダントの位置を、今までもそうしてきたように、私は正した。


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