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銀のペンダント  作者: 上村文処
エピソード3 先輩~子供~祈る
177/1024

3-4 こーつ

 こーつこつこんこん、こーつこんこ。


「ぬぅ」


 こーつこつこ。


「むぅ」


 こ。


「な!」


 これ。ものすごく難しいんですけど。特に、曲線のところ。点をたくさん、重ねて打っていく方法しか思いつかない。でも、そうすると、今の私では、ずれる。

 あと、若干、胸が視界の邪魔。

 あ、でも、胸の谷間によく使うたがねを挟んでおいたりすると、便利っぽい?

 いや、駄目だ。そういう悪ふざけは、良くない。お客さんが来た時に、胸にたがねを大量に挟み込んでいる女がいたら、確実に、引かせる。


「とにかく、慎重に、丁寧に、だなー」


 はへー。

 両腕を身体の前に思いっきり伸ばして、深呼吸。


「よし、やろう」


 こーつこ。


「ごめんくださーい……」


 よ? あ、お客さん?


「はい! はい、玄関は()いてます、どうぞ!」

「お邪魔しまーす……」


 ()いた玄関の向こうに、超絶美人の女の人がいた。

 ぼってりと重そうではない、動きやすそうなドレス風の服装で、とても華やかな印象の人だった。黒髪、黒目。髪は短めに整えられていて、お上品。お化粧もしてる。

 ともかく、立ち上がらねば。


「はい。ご用件は何でしょうか。それと、宜しければ、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」

「用件は、ご挨拶。名前は、エリーゼ・バードランド。あなたが、ヨリコ・ブロッサムさん?」


 ほ?


「はい。そうです」


 なにゆえに私の名前をご存じなのか。


「びっくりさせてごめんね。シーちゃん先生から、あなたのことを聞いたのよ」


 シーちゃん先生。先生。


「あ、レインツリーさんからですか」

「そうそう。シーちゃん先生じゃ、分からないよね。ごめんなさい」

「いえ、そんなそんな」


 用件は、ご挨拶って、そういえば言ったな。バードランドさん。

 ルーペさんへの、ということかな。


「今、」


 ルーペさん、とお客さんの前で言うのはおかしいか。

 えーと。


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