3-4 こーつ
こーつこつこんこん、こーつこんこ。
「ぬぅ」
こーつこつこ。
「むぅ」
こ。
「な!」
これ。ものすごく難しいんですけど。特に、曲線のところ。点をたくさん、重ねて打っていく方法しか思いつかない。でも、そうすると、今の私では、ずれる。
あと、若干、胸が視界の邪魔。
あ、でも、胸の谷間によく使うたがねを挟んでおいたりすると、便利っぽい?
いや、駄目だ。そういう悪ふざけは、良くない。お客さんが来た時に、胸にたがねを大量に挟み込んでいる女がいたら、確実に、引かせる。
「とにかく、慎重に、丁寧に、だなー」
はへー。
両腕を身体の前に思いっきり伸ばして、深呼吸。
「よし、やろう」
こーつこ。
「ごめんくださーい……」
よ? あ、お客さん?
「はい! はい、玄関は開いてます、どうぞ!」
「お邪魔しまーす……」
開いた玄関の向こうに、超絶美人の女の人がいた。
ぼってりと重そうではない、動きやすそうなドレス風の服装で、とても華やかな印象の人だった。黒髪、黒目。髪は短めに整えられていて、お上品。お化粧もしてる。
ともかく、立ち上がらねば。
「はい。ご用件は何でしょうか。それと、宜しければ、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」
「用件は、ご挨拶。名前は、エリーゼ・バードランド。あなたが、ヨリコ・ブロッサムさん?」
ほ?
「はい。そうです」
なにゆえに私の名前をご存じなのか。
「びっくりさせてごめんね。シーちゃん先生から、あなたのことを聞いたのよ」
シーちゃん先生。先生。
「あ、レインツリーさんからですか」
「そうそう。シーちゃん先生じゃ、分からないよね。ごめんなさい」
「いえ、そんなそんな」
用件は、ご挨拶って、そういえば言ったな。バードランドさん。
ルーペさんへの、ということかな。
「今、」
ルーペさん、とお客さんの前で言うのはおかしいか。
えーと。




