3-3 さてと
さてと。戻りますかねー。
「ただいま戻りました!」
「ああ」
奥さんのお姿は、既になし。二階に戻られたんだろうな。
「今日からは、これをやれ」
「はい?」
巻き巻きの世界は終わりなのか。手渡されたのは、金属製の薄い板。模様というか、図形が描いてある。
「その線に沿って、たがねを打っていけ」
たがね。
「必要なものは、お前の机の上に用意した。どれを使えばいいか、自分の頭で考えながらやれ。期限は一週間だ」
「質問です」
何も言わないでこっちを見ている時は、質問して良し、の意味。のはず。
「たがねというのは、この、金属の棒のことですよね。刃のついた」
「そうだ」
「打つというのは、この模様を深くしろ、ということでいいんでしょうか」
「均一に深くしろ。深さは、木槌で一打ち分だ。髪の毛が二本、入り込むぐらいの深さが一番いいが、まぁ、今は自分なりにやれ」
なんか、たくさんしゃべった。
「客が来たら、俺に取り次げ」
話は終わり、ということみたいで、ルーペさんは奥の自分のスペースの方に行ってしまった。
むーん。
・図形は、ものすごく細かい
・線が重なっている部分もあるから、こういうところはどうするかを考えないといけない
・たがねは、たくさんあって、一つひとつが微妙に違う
直線と曲線でたがねを使い分けて、木槌でこつこつこんこん。期限は一週間。それぐらい時間をかけてやれ、ということなんだと思う。
ともかく、やろう。巻き巻きの世界から、こつこつこんこんの世界へ。




