1-17 やがて
やがて、光線が途絶え、書き込みが終わったのであるらしい身分証を、トーチライトさんが手に取った。
お、完成ですか。
「まだ、もう少しかかるわね」
そう言って、ステータス情報の右側に出ている半透明の板状のものに、トーチライトさんが身分証をかざした。
「それは、何をしているんでしょう?」
「今日の日付と、身分証を作成した担当支部を書き入れているの」
半透明の板状のものから、身分証の四隅に向かって光が伸び、それがゆっくりと中心まで動いて光の束になった後、消えた。
こう、何かをチェックしているような感じ。
「はい、どうぞ。これがあなたの身分証です。できるだけ、普段から携帯しておいてください」
おー。身分証。ステータスが書いてある方が表、なんですかね?
「そうね。身分証の提示を求められた時は、そちらを見せることになるから、表はステータス情報が複写されている方ね」
なるなる。ということは、こちらが裏。
ふむ。
真ん中に横書きで身分証と書いてあって、右下に、日付と、転生者組合第三支部発行の文字が書いてある。
新王暦一九〇年四月六日。
おぅ。
「今日が、私の十九歳の誕生日、ということでいいんですかね?」
表示されているステータス情報を覗き込んで、生年月日という項目を探す。うん、同じ四月六日になってる。
「転生者は、この世界に現れた日の日にちがそのまま、誕生日として登録されるようになっている、らしい」
コールズさんから補足が。
ふーむ。それは、まぁ、そうか、と思うんですけど。
ずっと気になってることが一つ。
「えーと、私の名前や誕生日を登録した人は、誰なんですか?」
表には、名前が書いてあって、その下に、性別、年齢、レベルが書いてある。
技能が続いていて、そして装備がさらにその下に書いてある。
内容は、さっき呼び出した〈ステータス画面〉に表示されていたものと同じだった。
「答えるのが難しい質問だけれど、そうね、この、世界そのもの、かしらね」
世界は、ここに書いてあることを、正しく知覚している、ということなのか。
口には出さずに、そんなことを考えながら、私は自分の身分証の表側をじっと見つめた。
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ヨリコ・ブロッサム
[女 / 19歳 / Lv. 1]
技能:〈ステータス画面〉100
装備:[首]銀のペンダント
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