2-101 言
「言うことがあった。ついてこい」
おっさんが先頭になり、奥の部屋へ。中は、そこそこ広い。真ん中に少し長めの机が一つあって、壁際には棚とかロッカー的なものが、敷き詰められたように並んでいる。
正面の右端と、右の壁の奥側にドア。正面のドアが外に出るためのもので、右の壁のがトイレか。トイレって書いてある札が下がってる
で。謎なのが、左側の奥らへん。背を向けた棚が並んでいて、手前側は開いている。
「そこの奥は、お前の部屋替わりだ」
なんと!
「自由に使っていい」
それだけを言って、おっさんは外につながるドアから出て行ってしまった。
「むーん」
……ちょっと、感動しかかっている私がいる。あの人、こういうことをしてくれる人なのか。
棚で仕切られただけの空間だけど。私がこれから働くことになる場所に、自分の居場所があるというのは、悪くない。
「お邪魔しまーす……」
小さな机と、椅子が一つ。二つある大きめの棚は、中身が全部ない。自由に使っていい、ということなんだろう。
「出勤したあと、荷物を置いたりするのに良さそう」
壁には窓。格子窓になっていて、雨戸的なものは外から下ろすタイプなのだと思う。カーテンもある。嵌め込まれているガラスは、透明度が高め。
ここで着替えることは多分、ないだろうけど、その時はカーテンをちゃんと閉めよう。
「はへー」
椅子に座ってみた。なんか落ち着く。バッグを棚に置いて、さて!
「お掃除、しますかね!」
よし!
「掃除道具は……えーと、勝手にロッカー、開いちゃいますよー……あった」
箒。昨日、おっさん……ルーペさんが使ってたやつはこれだな。
「ちりとりとかは、持ってなかったような」
土ぼこりを玄関前から掃き出せば、とりあえずはよしとするか。あー、昨日、ルーペさんの掃除の仕方、よく見とけば良かった。




