1-15 準備ができたので
「準備ができたので、端末宝珠に触れてもらっていいかしら」
「この、水晶のところを触るんですよね?」
「そうです」
「では、失礼して」
ほい。あ、ほんのり温かい。
「おー、出てきた」
触れたのと同時に、水晶球が光るとか、そういう予備動作もなしに現れた、半透明の板状のもの。ステータス情報、とコールズさんもトーチライトさんも呼んでいたやつ。
そのステータス情報は、私と向かい合うように出てきたので、お隣にいるトーチライトさんからは見えていないご様子。まぁ、普通に、名前、年齢、性別、レベル、生年月日があって、技能欄と装備欄というのが、切り分けてさらに書いてある。
ほーほー。
うん。さっき、ここで〈ステータス画面〉を使ってちら見したのと、だいたい同じ。
レベルに、生年月日ね。色々、聞きたいことが出てきた。
「見せてもらうわね」
「どーぞどーぞ」
トーチライトさんが端末宝珠の水晶のところを撫でるようにすると、ステータス情報がくるっと回って向きを変えた。
へー、そんなこともできるのか。
で、そのまま、私のステータス情報に見入って、なんだか黙り込んでしまった。
おぅ、またですか。
「ごめんなさい、コールズくん……副支部長に見せてもいいかしら?」
にゅ?
「はい。どーぞどーぞどーぞ」
コールズさんがやって来て、私のステータス情報を見つめたまま、トーチライトさんと同じように黙り込んだ。
えー。もう、ちょっと、なんすか。
「お前……ブロッサム」
あ、名字で呼んでくれた。
「はいはい」
「技能点の使い方とか……いや、知らないよな」
「そもそも、彼女に技能点を使う時間はなかったでしょう? 私もあなたも見ていたわけだから」
「……そうですね。それに、レベルも1か」
技能点?
あ、またなんか、ゲームっぽい。
それと、彼女、と言われるの、なんか、むずむずする。
「この、あなたのステータス情報の、技能欄のところね。〈ステータス画面〉というのが、あなたの固有技能の名称で、併記してある数字のことを、技能階梯というの」
技能階梯。技能の、強さ的なことですか。
「そうね。どれだけ、その技能に習熟しているかを表す指標のことなんだけど」
ほーほー。ゲームとかによくあるやつ。
「……100という数字はね。普通じゃないの」




