2-77 おぅ、目
おぅ、目が合った。
「いらっしゃい。ヨリコちゃんって、呼んでいい?」
私って、下の名前で呼びやすそうな何かを醸し出しているんだろうか。
「はい、どうぞ」
奥さんは……何歳ぐらいなんだろうな。服装は、私と同じような、この世界の女の普段着だけど、色は落ち着いた感じで、優しい雰囲気の、枯れ葉色。
髪は短め。まとっている雰囲気は、とても若々しい。
「ヨリコちゃんは、そこに座って」
「俺は下に行く」
「はいはい。用意するから待って」
お皿に乗った、香ばしいお醤油の匂いが漂う、大きめの焼きおにぎりが一つと、カップに入った、この世界の人たちにとってはどうやら定番の料理であるらしい、豆のスープを受け取って、おっさんはさっさと階段を下りて行ってしまった。
「ヨリコちゃんは、ゆっくりしてね。休憩も大事よ?」
私も下に行くべきなのか、悩んでいたら、奥さんがそう、声をかけてくれた。
「分かりました」
どうにも、受け答えがなんか、ぎくしゃくしてしまう。自分で思っているよりも、緊張してるんだろうな。
さて、ここで、座って奥さんがお食事の用意をしてくださるのをただ待つというのは、人として駄目な気がする。
「あのー、お手伝いさせて頂いてもいいですか? 私に何か、できることがあれば」
「食事の用意は私の仕事だから。職人はこういう時は、何も言わないで待っていればいいの」
職人。私、ここに就職することになりかかってる?
レインツリーさんは、おっさんと奥さんに、私のことをどう、説明したのか。やっぱり気になる。
「はい、できあがりー。おにぎり、一つでいい? もっと食べる?」
「いえ、大丈夫です。一つで十分です」
「そうよね。女の子だものね」
「いえ、そのー、ほへへへへ」




