1-14 そして、ジャブラジャーラ
そして、ジャブラジャーラへの突っ込みはなしですか。
もしかして、この世界では正式名称がジャブラジャーラだったりとかは。
それを偶然、言い当ててしまった私?
「違います。コールズくんは男性で、あなたは女性なんだから。少しは、考えなさい」
なんとなく、トーチライトさんが先生口調になっている気がします。
ジャブラジャーラの、肩紐、というのか。それを元に戻すまで待たれているように感じたので、そのようにした。
なんか、色々とずれた気がするけど、気にしないでおく。
「ともかく、ここからは私の担当ね。確認だけど、名字はブロッサムでいいのね?」
「はい。問題ありませんです」
「分かりました」
トーチライトさんが立ち上がった。
「端末宝珠を使うから、こちらに来てくれる?」
「了解であります」
机の前に立っているトーチライトさんのそばに近づくと、端末宝珠と先ほどから呼ばれている、水晶球の真正面を譲られた。
水晶球は透明で、地球儀みたいな雰囲気の台の上に乗っている。大きさは、野球のボールぐらいか。
「魔法で動く道具なんですよね?」
「そうね。そういう理解の仕方をして頂いて、問題ありません」
あー、やっぱり、魔法はあるんですねー。
呪文を唱えて、火の玉が出てどーん、みたいな。
「それは、魔導ね。魔法を学術的に体系化したものが、魔導。説明し始めたら長くなるから、先に身分証を作ってしまいましょう」
魔導。ほへー。
でも、まずは身分証。
「了解でありますです」
敬礼した私を見て、それでは始めます、とトーチライトさんが言った。
何かをしているんだろうけれど、それは私には分からない。呪文を唱えるとか、そういうのでもなく、端末宝珠の内側に現れた光が、ゆっくりと渦を巻きながら水晶球の全体に広がっていった。




