2-65 あ、そう
「あ、そういえばさ。魔物のこと、エレノアから聞いたんだよね?」
「出現が連続するというお話ですよね」
「そーそー」
「はい。はなごろもから戻ってきたあと、ついさっきですね。ブライトンさんという、迎えに来て頂いた職員の方から、事前に伺ってはいたんですけど」
トーチライトさんからは、大丈夫だから、心配しないでね、と言われましたです。
「エレノアらしいね」
レインツリーさんが、ふんふん、と頷いた。
「エレノアの言う通り、大丈夫だからね。準備はきちんと進めているみたいだし、不測の事態が起こることも想定済みで、対応を考えてるから」
だから大丈夫。レインツリーさんのその言い方は、トーチライトさんにとても似ていた。
いや、逆か。トーチライトさんが、レインツリーさんに似てるんだ。
教え子は、先生に似る、ということかな。
なるほど。
ふむん。
「なに、急に笑ったりして」
「いえ。レインツリーさんは、トーチライトさんの先生なんだなぁ、と思っただけです」
「昔の話だよ?」
そうでしたね。
「あ、それで、さっき屋上に入る許可を取りに行った時に聞いたんだけど、ヨリちゃん、しばらく……就業訓練だっけ。あれ、お休みになるんだってね」
「はい。今後の予定はいったん、白紙にさせてください、ということでしたので」
ぬーん。
「どうしたものかと」
「うん。そのことについてなんだけど、ま、ご飯食べながら話すか。ちょっと、私からヨリちゃんに提案があるんだよ」
提案ですか?
「そそ」
提案。なんだろう。
「あ、そこの階段は下ね」
おぅ。
「ついてきて。ここからちょっと、通路が狭いから」
「了解です」
二人で黙々と歩き、二度ほど、上って下ってを繰り返すと、長い階段の前に辿り着いた。
「この上だよー」
わりと。
しんどい。
「頑張れ、ヨリちゃん。異世界生活は体力勝負なところがあるよ!」
ですよね。
「この階段……なんか、長くないですか」
「地下一階から三階まで、一気に上がってるからねー」
ほへー……ほへー……。
「はい、お疲れ」
たったか早足で階段を駆け上がって行ったレインツリーさんが、終点のドアの前で待ってくれていた。
はー、疲れた。
「鍵は開けておいたから。ヨリちゃんがドアを開けて?」
「分かりましたです」
ほいでは。
開け、ドア。




