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銀のペンダント  作者: 上村文処
エピソード2 授業~師匠~笑う
133/1024

2-65 あ、そう

「あ、そういえばさ。魔物(キメラ)のこと、エレノアから聞いたんだよね?」

「出現が連続するというお話ですよね」

「そーそー」

「はい。はなごろもから戻ってきたあと、ついさっきですね。ブライトンさんという、迎えに来て頂いた職員の方から、事前に伺ってはいたんですけど」


 トーチライトさんからは、大丈夫だから、心配しないでね、と言われましたです。


「エレノアらしいね」


 レインツリーさんが、ふんふん、と頷いた。


「エレノアの言う通り、大丈夫だからね。準備はきちんと進めているみたいだし、不測の事態が起こることも想定済みで、対応を考えてるから」


 だから大丈夫。レインツリーさんのその言い方は、トーチライトさんにとても似ていた。

 いや、逆か。トーチライトさんが、レインツリーさんに似てるんだ。

 教え子は、先生に似る、ということかな。

 なるほど。

 ふむん。


「なに、急に笑ったりして」

「いえ。レインツリーさんは、トーチライトさんの先生なんだなぁ、と思っただけです」

「昔の話だよ?」


 そうでしたね。


「あ、それで、さっき屋上に入る許可を取りに行った時に聞いたんだけど、ヨリちゃん、しばらく……就業訓練だっけ。あれ、お休みになるんだってね」

「はい。今後の予定はいったん、白紙にさせてください、ということでしたので」


 ぬーん。


「どうしたものかと」

「うん。そのことについてなんだけど、ま、ご飯食べながら話すか。ちょっと、私からヨリちゃんに提案があるんだよ」


 提案ですか?


「そそ」


 提案。なんだろう。


「あ、そこの階段は下ね」


 おぅ。


「ついてきて。ここからちょっと、通路が狭いから」

「了解です」


 二人で黙々と歩き、二度ほど、(のぼ)って(くだ)ってを繰り返すと、長い階段の前に辿り着いた。


「この上だよー」


 わりと。

 しんどい。


「頑張れ、ヨリちゃん。異世界生活は体力勝負なところがあるよ!」


 ですよね。


「この階段……なんか、長くないですか」

「地下一階から三階まで、一気に上がってるからねー」


 ほへー……ほへー……。


「はい、お疲れ」


 たったか早足で階段を駆け上がって行ったレインツリーさんが、終点のドアの前で待ってくれていた。


 はー、疲れた。


「鍵は()けておいたから。ヨリちゃんがドアを()けて?」

「分かりましたです」


 ほいでは。

 (ひら)け、ドア。


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