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銀のペンダント  作者: 上村文処
エピソード2 授業~師匠~笑う
127/1024

2-59 十七

 十七時三十分。空はまだ明るい。今日の空には朝から雲がなく、降る陽射しは大気に磨かれて鋭く、肌に当たってくるように思えたが、その鋭さは既に(やわ)らいでいる。太陽の(まばゆ)さは、もう遠い。

 眼奧(がんおう)を刺した光を(まばた)きで払い、振り返ると、まだ私に向かって手を振ってくれている、はなごろもの皆さんの姿が見えた。手を振り返したあと、どうぞ、お戻りくださいという、どじょうすくいの動きをアレンジした渾身のジェスチャーをしてから頭を下げる。私の思いが届いたのだろう、ようやく、皆さんはお店の中に戻るべく、路地の方へと歩いていった。


「不都合なことはございませんでしたか、ブロッサムさん」


 皆さんが歩き去る姿に一礼をした、私の隣を歩く女の人が、優雅な言葉遣いで尋ねてきた。


「はい。皆さん、とても良くしてくださいました」

「そうでしたか。良いご経験をされたのですね」

「ですね」


 背が高く、栗色の真っ直ぐな髪を少し高い位置でポニーテールにしているこの人は、転生者組合(リレイターズ・ギルド)第三支部から派遣されてきた、ユーディ・ブライトンさん……で合ってるよな。

 はじめましてのご挨拶は、はなごろもに私を迎えに来てくれた時にしただけだったので、もう一度、改めて。


「あのー、改めまして、なのですが。ヨリコ・ブロッサムと申します。よろしくお願い致します」

「ご丁寧にありがとうございます。改めまして、ユーディ・ブライトンです。転生者組合(リレイターズ・ギルド)第三支部の職員をしております」

「受付のところに、スプリングフィールドさんと一緒にいらっしゃいましたよね?」

「はい」


 微笑みながらブライトンさんが頷いた。言葉遣いも優雅なら、仕草も優雅な人だ。着ている服は私と同じようなものなのに。


「本来であれば、私ではなくグリーンリーフ主任がお迎えに上がる予定だったのですが、少し、立て込んでおりまして。申し訳ございません」

「いえいえいえ。今は、大変な時期なんですから」


 グリーンリーフさん、主任なのか。


「ご配慮をありがとうございます」

「そんな、ほんとに。お気になさらず」


 優雅さに気圧(けお)されて、若干、へこへこしている自分が情けない。


「第三支部にお戻りになられたあと、支部長の方からご説明させて頂くことになると思うのですが」


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