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銀のペンダント  作者: 上村文処
エピソード2 授業~師匠~笑う
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2-55 はい、預かって

 はい、預かっていたお弁当、とターナーさんが手渡してくれたのは、竹で編んだケース的なものに入れられた、木製の細長いお弁当箱だった。


「お昼休憩は、三十分交代だから、ゆっくりしましょう」


 今日は、お客様もいらっしゃらないしねー、とターナーさんが付け加えた。午前中、二階にやって来たお客さんは、女の人が二人だけ。一階は良く分からないけれど、きっと、同じような感じだったのだろう。

 一階事務所の入口近くに置いてある、小さなテーブルの上にお弁当箱を置き、椅子に座ろうとしたところで、ターナーさんがお茶の用意をしてくれているのに気づいた。小さい台所みたいなものが、奥の方にある。


「わ、私がやります!」

「いいから、座っていなさいな」


 歌うようにそう言ったターナーさんは、なんだか楽しそうで、すいません、と言ってから、私は椅子に座った。


「はい。日本茶でいいかしら?」

「大丈夫です。ありがとうございます」


 ターナーさんも、料理長が用意してくれたものと同じようなお弁当箱を持ってきていた。


「頂きましょう。あ、手を洗いたいわよね。向こうのお台所を使って」

「失礼しますです」


 事務所の中はそれほど広くはなくて、入口近くの、多分、休憩用に置かれているテーブルの他には、書類っぽいものが積まれた大きめの机が二つほど。棚が二つあって、お台所があって、そこの真横にもドアがある。

 手洗い終了、さぁ、この濡れた手をどうする。

 ……エプロンは借り物だから、スカートで。あら、スカート、ここが皴になってるかしら、という雰囲気を出しつつごまかして濡れた手を拭いたら、ターナーさんと目が合った。


「ハンカチ、忘れちゃった?」

「……面目次第もございません」

「ふふ。ブロッサムさんって、面白い人ね」


 こういう時に使う、言葉遣いではなかった。変なところで悪ふざけの癖が。


「今日の失敗は明日、取り戻せばいいのよ。さ、食べましょ」


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