2-52 本
「本日より二日間、お世話になります、ヨリコ・ブロッサムです。えー、短い間ですが、よろしくお願い致します」
短い間ですが、は、いらなかったかな。こういう時の挨拶をどうしたらいいのか、良く分からん。まぁ、拍手が返ってきたので、良しとしよう。
「はい、よろしくお願いしますね」
私の隣に立っている、生活雑貨はなごろものオーナーさんの奥さんが、拍手の手を止めて私にそう言った。
私の前には、人族の女の人が二人。奥さんも合わせると三人。あ、グリーンリーフさんが少し離れたところにいるから四人か。
「ブレンダ・ターナーです、よろしくね」
「よろしくお願いしますです」
おぅ、フレンドリーな雰囲気の人。ターナーさんはオーナーさんご夫妻の名字だから、娘さんかな。
長めの髪を後ろにくるっとしてまとめてる。
「ローラ・ベリーウッドです。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いしますです」
ベリーウッドさん。こちらは一つに束ねた三つ編み。なんか最近、女の人の髪型が気になる。
「ブレンダは私の娘で、ローラは私の姪なの」
「あ、娘さんと姪御さんなんですか」
家族経営なのかな。
「それでは、よろしいですか? ターナーさん、書類のご確認をお願いしたいのですが」
お、グリーンリーフさん。
「はい、それでは、あちらのお部屋へ」
「分かりました。それから、ブロッサムさん」
はい? なんでしょう?
「午後五時にお迎えに上がります。私は一度、戻りますので」
「了解であります」
思わず、敬礼してしまった。癖になりかけてる。
そして、んーむ、心の中では名前で呼ぶことにするか。ターナーさんは二人いるし。で、ブレンダさんとローラさんに、笑われてしまった。
「じゃあ、私たちは、二階に行きましょうか。そうだ、その前に、ローラ、ブロッサムさんのエプロンは?」
「ここにあるよ」
お会計をする場所のテーブルの上に、折り畳まれて置かれているエプロンがあった。
「申し訳ないんですけど、エプロンをこれに変えてくれますか?」
「うちのお店の店員は、みんな、同じエプロンをすることにしてるの」
あー、なるほどです。
制服みたいなものかな。それで、奥さんもブレンダさんもローラさんも、花柄エプロンを装備してたのか。
「お借りしますね。えーと、少し、お待ちください」
財布と時計を取り出して、花柄エプロンのポケットに移しつつ。
エプロンチェンジ……完了!
「そちらのエプロンは、お預かりしておきます」
ローラさんが私の白いエプロンを丁寧に畳んで、お店の奥の方へと歩いて行った。グリーンリーフさんと奥さんが行った、あちらの部屋、が、あの奥にあるんだろう。




