1-12 そうですねぇ……
「そうですねぇ……」
名字の一覧を眺めてはみるものの、これ、というのに行き当たらない。なんというか、頭に入ってこない。
並び方はアイウエオ順ではなくてアルファベット順っぽいだとか、そういう余計なことばかり、気にかかる。
トーチライトさんとコールズさんがソファーに座り直して、私を待ってくれているのもなんだか申し訳ないし。
ぐむむ。
我、気分転換を欲す。
端末宝珠の置かれている机の向こうの壁に、大きめの窓があった。私から見て左側にあるその窓は、陽射しの通り道になっていて、光っているように見える。なんとなく、私は外を見てみたくなった。
「そこの窓、開けてみてもいいですか?」
目の前のお二人を等分に見ながら尋ねたら、トーチライトさんが、どうぞ、と言ってくれた。
では、失礼して。
「よっこい……よっ?!」
立ち上がろうとしたら、スカートの裾踏んだ。
「えー、前、失礼します」
リトライして今度は無事に立ち上がり、なんか恥ずかしかったので、おじさんたちがやるみたいに空間にチョップを繰り返し打ち込みながら、窓の方へ向かった。トーチライトさんに微笑まれたような気がするが、気にしない。
「これはどうやって……あ、この留め金を外せば」
留め金的なものを外して、ふんぬ、と窓を持ち上げようとしたものの。
無理だった。
重いな、おい。
「ほら」
「あ、すいません」
見かねたのであるらしい、コールズさんが開けてくれた窓の外には。
初めて見る、この世界の風景が広がっていた。




