2-44 まず、
「まず、小さな火をつける。ブロッサムちゃんに分かりやすく言うと、マッチみたいなもの」
あー、マッチ。
「それから、コップ一杯分ぐらいの液体を、きれいなお水に変える」
おー、飲み水に困らなさそうです。
「染みを抜く。大きいのは駄目だけどね」
染み抜き。
「百文字分の文章を、紙から紙にコピーする」
コピー。
「指先でなぞっただけで、書いてある文章を読める。少しだけだけどね」
おー。
「すごく近くにあるものを、自分の手の方に引き寄せる」
ほへー。
「で、最後が、自分の声を、一人だけに届ける」
なるほどー。
「おい、ブロッサムが困ってるだろうが」
いや、そんなことないっす。
「おばちゃん、自分の固有技能のことを話した時に、相手が困るの、好きなのよね」
ははは。いえ、ほんとに、困ってとかないっす。
普通に、どれも便利そうだと思うんですけれども。
「そぅお? あら、お客さん。いらっしゃい」
「よし、ブロッサム、持ち場につけ」
「了解でありますです」
三角巾を装備してって、コールズさんじゃないですか。
「元気そうだな」
「どうもです。あ、いらっしゃいませ」
「いつものね?」
「お願いします」
えーと、ラーメンの器は……よし。どぞ。
「チャーハン皿も頼む。同じ棚の下にある」
はい、えーと、あった。
「どぞ」
「よし。覚えが早いな」
いえ、そんな。
「出来上がり、もってけ」
「熱いから気をつけてね」
大丈夫で――おへっ。




