2-43 え。
「え。転生者の方だったんですか?」
そうだよ、と、にこにこ顔で頷いた食堂のおばさん改め、奥さんを、私は思わず二度見した。
今日は、転生五日目。昨日までで、この世界の基本的なことの学習はひとまずおしまいになり、今日から就業訓練、というやつを受けることになった。
訓練初日は、食堂の裏方仕事。返ってきたお皿を洗ったり、料理長にお皿を用意したり、テーブルを拭きに行ったりとかそういうので、今は魔物警報が発令中ということもあってか、転生者組合の職員さんの出足はまばらだから、それほど忙しくもない。
朝の片づけがひと段落したので、ツインテールをやめてひとまとめにしていた頭から、三角巾を外しつつ、こちらの世界も三角巾なんですねー、と何気なく言ってみたら、日本が懐かしくなるわよねぇ、という言葉に続き、そうそう、おばちゃん、転生者だからね、という、奥さんからの衝撃の告白があった。
「役に立たん固有技能ばかりだがな」
「言い返せないのが悔しいねぇ」
おじさん改め、料理長が、私と奥さんが一息ついて座っている食堂の隅にやってきて、仁王立ちした。
「役に立たないって……ん?」
ばかり?
「おばちゃん、固有技能、七つ持ってるの」
な?
「えーと、七つ?」
聞き間違いでは。
「そう、七つ」
「どうでもいいもんばっかりな」
七つ。
「ここでの仕事では、役に立ってるじゃないの」
「まぁな」
七つ……ちょっと、衝撃的な数字過ぎて、頭が回らないです。
「あのー、差し支えなければ、なのですが、その、どういうものなんでしょうか」
奥さんがお持ちの、固有技能って。




