2-32 そんな若
「そんな若いヨリちゃんに、おばちゃんから質問です」
私がお味噌汁のお椀をテーブルの上に置いたのを見計らって、レインツリーさんがそう言った。
「ヨリちゃん、自分の固有技能、嫌い?」
……むぅ。
「いえ、まぁ、なんというか、これ、どうしたらいいんだろうなー、というのはありますけど。まだ、良く分かってないですし」
お茶を一口。
「でも、嫌い、というのはないです。自分の一部なので、責任を持たないといけないですし」
うん。変なことは言ってない。
「そっか。それなりにもう、考え込んだんだね?」
「そうですね」
嘘をついてもしょうがないし、多分、転生者は、みんな、通る道なのだろう。
「コールズさんは、いつか、自分がこの世界の敵になるんじゃないか、とか、そんなことを考えたっておっしゃってました」
「あー、シバのあれは、そういうことを思うやつだよね。どういう固有技能かは、聞いた?」
「〈魔印解放〉、でしたよね」
「うん。最初の転生者が現れてから色々な固有技能が世に出てきたけど、ちょっと、特殊な感じだったね。あいつのは」
ふむ。
「何か、傾向みたいなものとか、あるんですかね? 時代に応じて、と言いますか」
「うーん、そうねー」
少し、考えたあと、
「こう、対象が狭くなってる、ような気はする。あたしは、こっち来てから二百年ぐらい経つんだけど」
二百年。
「ん? うん。二百年。その二百年の間にいろんな転生者に会ったけど、範囲が広い固有技能が多かったって、言い方は分かりにくいか」
あ、お茶飲んだ。
「あたしの固有技能は、〈白き魔導書〉っていうんだけどね」




