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第83話 義父(8)
僕は自分の妻へと強い決心でこの世界へと舞い戻ってきた。
だからエルのお父さんから、『娘をやる!』、『だから幸せにするのだぞ!』と心から僕とエルの結婚を祝福してくれるまでは日本へと帰還をする気はないのだと告げた。
だからエルは大変に困った顏はしない。
「一樹……」
エルは自身の瞳をウルウルと潤ませながら、自分の胸の位置で両手を握り絞めながら祈るように僕のことを見詰めつつ、僕の言葉と想いに対して感謝、感激、感動をしてくれた。
そんな妻の様子を見て、確認をすれば、やはりエルは自分の実の父であるルミネス公爵との親子の縁を断ち切りたくはないと僕は確信できたから。
「……お父さん、おねがいします……。エルさんを僕のお嫁さんにください! 必ずエルさんのことを幸せにします! だからお父さん! 僕とエルさんの結婚を了承してください! おねがいします!」




