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第34話 昭和のアパートだけれど勇者様は驚愕!(2)
「……陛下、何をしているの?」
僕に声をかけてきた。
「……エルと俺の朝食を作っているんだよ……」
僕はエルの問いかけに対して微笑みながら言葉を返した。
「えっ! うそ?」
僕が言葉を返せばエルは驚嘆した。
「……うそじゃないよ。本当だよ……」
と、僕は言葉を返すのだけれど。
僕は気になることがあるからエルへと。
「何で僕が自分の食事をつくることがうそだと思う訳なの?」と尋ねてみた。
「えっ! だって陛下は亜人の王だから衣食住に苦労することもないし、食事だって自分で作ることなどないと思うから?」
僕がエルに尋ねると彼女は可愛く首を傾げながら言葉を返してきて、六畳二部屋にキッチンしかない小さなアパートの部屋内をキョロキョロ注意深く見渡すように見詰めながら。
「……陛下、何処かにあるのでしょう? お城へと続く部屋が」と尋ねてきた。




