第56話 エルフな、きよしこの夜(27)
「皆、どうする? どうするのだ?」と、相変わらず順序良く。分け隔てなく。私達妻の頭を優しく。愛おしく振れ、撫でてくれる一樹なのだが。そんな主様は、私達妻達を労りながら《《ヒバの長》》と《《猿猴の長》》、八つの首を持つ、《《ヤマタノオロチ》》達へと問いかける。
すると各長達は、自身の後ろを振り返り。種族の者達。人達の顔、様子を見渡し。窺い始める。
でっ、八つの首を持つ《《ヤマタノオロチ達》》はと言うと?
各自各々が、自身の周りの者達の顔を見詰め頷けば。
「魔王様?」
「あの、ですね?」と。
家の主人に声をかければ。
「うん、何だ。ヤマタノオロチ達?」と、声を返せば。
「私達」
「儂等」
「俺達」
「僕等」
「私達」
「ぼく」
「おれら」
「儂らはね」
「この日本から離れ。元居た世界へと帰還。帰りたいのですが宜しいですか、魔王さま?」と。
家の主へと告げてきたから。
「そうか。わかった……。じゃ、帰還用の異世界ゲートを開こう」と、魔王が《《ヤマタノオロチ》》達へと言葉を返せば。




