第56話 エルフな、きよしこの夜(23)
「今後も魔王共々、私達一族をお願いします」
「《《ヤマタノオロチ》》さん、宜しくお願いしますね」
「ドラゴンさん、よろしくお願いします」と。
私の《《ヤマタノオロチ》》への挨拶に続き、翔子さんと美紀さんも、彼等に今後もよろしく頼むと深々と頭を下げ嘆願をすればね。
「陛下~」
「閣下ー!」
「殿下ー!」
「お妃さまぁっ!」
「お妃様達ー!」
「女王さま~」
「女王陛下~」
「太后殿下ー!」
「「畏まって、我等に頭を下げないでください~」」
「「お願いします」」
「「お願いです」」
「「頭を上げてください! 女王陛下様達ー!」」
八つの首を持つドラゴン達は、このように各自各々が、自身の耳まで裂けた口を大きく開けながら。私や翔子さん、美紀さんへと、畏まって挨拶はしなくて良い。頭を上げてくれと、私達三人へと悲鳴に近い声音。大変に困った声色で告げてきたのだ。
そう、彼らは、自分達の恐ろしい容姿に不釣り合いなぐらい低姿勢。大人しいのだ。
だから今迄、何度かドラゴンと争い。戦いをおこない。討伐! 成敗をおこなった事のある元勇者の私は、拍子抜けしてしまうのだ。ついでに翔子さんや美紀さんもね。かなり驚いた顔をしているから。私と同じ事を思ったに違わないと思っていると。
「本当に我が魔族、亜人族は、今後も安泰だ」
「うん、うん、そうだ」
「そうだね」
「若き魔王様にバンザイ!」
「「「「「バンザイ!」」」」」
「「「「「ばんざい!」」」」」
「「「「「バンザイー!」」」」」
《《ヒバ》》の一族の者達や《《猿猴》》の一族の者達が総出で歓喜! バンザイ三唱を挙げながら家の主、魔王の事を絶賛し始めるから。私は少しばかり呆気にとられてしまう、と言う事はない。ないのだよ。




