第56話 エルフな、きよしこの夜(10)
「えぇ、えええっ! ウソー! マジで! マジでウソだろう⁉」と。
僕が驚愕しながら独り言を呟いた。驚嘆を漏らしたところでね。
「パパ~! シッ! シッだからね」と。
家の幼いお姫様から注意、諫めの言葉、台詞。それも自身の小さな唇に、小さな指を当て──ジェスチャーしながら有り難い言葉、諫めを頂いたのだ。
う~ん、でもね? こればかりは、と言うか?
先程から僕の両目、瞳に映る物、謎の生物。ミスターX、UMA……。各県で懸賞金まで出ている。いるのか? いないのか? 未だに謎に満ちている生物の一つ、《《ツチノコ》》の姿が映ったのだ。
だから僕は、普通の人達のように当たり前な様子、振る舞いで驚愕をしたのだ。
う~ん、でもね? 家の幼いお姫様は、それでもダメだ! と。父親の僕を子供扱いのように諫めてくるのだよ。家の奥様、妻達と一緒になって『ジロリ』と、見詰めてくる、ではないよね?
明らかに主人、夫である僕の事を『どうしょうもない男性』、『一樹は、いつまで経っても子供なのだから』、『本当に致し方がない男性だ』と、でも言いたい。告げたい顔をしながら横目で『ジロリ』ついでに、この場に集まり。集う。この辺りに多分生息をしているのだろうと思われる生物達が一斉に、この場。この雰囲気。この神々しく、神秘的なクリスマスイブの夜を破壊、邪魔をする僕の事を冷ややかに見詰めてくるから。
僕はショボンとなり。俯き。反省……。
「みんなごめんなさい」と、謝罪を告げ、述べ。反省を始める。




