第55話 クリスマスイブの夜(12)
「よーし! 美紀ついたぞ!」
そして「降ろすぞ。美紀」と。
只今お姫様抱っこをしている。僕に抱きつき、しな垂れかかっている美紀へと告げると。僕は自身の奥様の事をゆるりと慎重に地面へと優しく、労りながら降ろすとね。
「えぇえええっ! 一君! もううちの事を降ろすの?」と。
僕に抱きつき縺れ、甘えていた美紀が不満を漏らしてきたら。
「美紀! 今度はエルの番だ! ちゃんと順番通り。約束通りしないとダメだぞ! 美紀は洋子のお母さんなんだから手本……。我儘を言わない。わかったなぁ?」と。
僕がお姫様抱っこしている美紀の事を、自身の腕、身体からゆるりと降ろしながら諫めるように告げればね。
「はぁ~い。わかりましたぁ~。うちはちゃんと一君の言う事を素直に聞いて守ります~」と。
美紀が僕に、反省しているのか? 本当にわかっているのかわからないけれど?
こんな台詞を呟いてきた。
だから僕は美紀に、「よろしい」と、言葉を返せば。
「じゃ、美紀いってくるね」
と、告げ。こちらにゆるりと向かってくるエルの許へと慌てて坂を駆け下り向かうのだった。
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