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第55話 クリスマスイブの夜(11)
家の奥様、翔子はね。いつもの僕の妻らしく、と言うか? お付き合い。彼女時代から変わらぬ、《《ツン・デレ》》仕様でね。嬉しそうに夫になった僕へと不満を漏らしながら呟くから。
僕は「よいしょ」と、言葉を漏らしながら。翔子の足の関節、腰へと、僕の腕を回し、抱きかかえると。
「いくよぉっ! 翔子ー!」
僕は声を出し、叫びながら走り始めるのだ。
「ちょ、ちょっと待ってよぉっ! か、一樹ー! 急に私を抱きかかえて、持ち上げて走りだしたらほんまにあぶなけぇ」
急に走り出した僕に対して翔子は、自身の両目、瞼を大きく開け不満を漏らす。
でもね、僕は、そんな翔子……。ツン・デレ奥様が漏らす不満などお構いなしに。翔子を、お姫様抱っこをしたままの状態で、クリスマスツリー仕様に、煌びやかに飾られて、光り輝くモミの木へと走り。向かうのだった。
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