第55話 クリスマスイブの夜(6)
「洋子おいで、パパが抱っこしちゃるけぇ」と。
僕は、我が家の可愛いお姫様の事を、そのままお姫様抱っこで抱きかかえ持ち上げれば。
「洋子はえぇねぇ。パパにしんどい。たいぎい。寒い。歩けないと不満を漏らせば直ぐに抱っこしてもらえるけぇ。えぇねぇ。ほんまに」と。
これまた、と言うか? いつもの如くの我が家の行事、行い。日常茶飯事で、家庭内で起きている事なのだが。
この声音、声色、物言いを聞けば、聞き取ればわかる。理解ができる通りだよ。
洋子の実母である美紀が大人気ないと言うか?
何処の家にもよくある光景だと思われる事、出来事。思春期前の幼い娘が父親へと甘え、独占をする様子を母親が凝視すれば。嫉妬心から娘相手にムキになり。一家の大黒柱、旦那様、パパの奪い合いをする光景、行為をね。
我が家も美紀が、実の娘洋子相手によくするのだよ。こんな感じでね。
だから美紀に、遠回しに嫌味を言われた洋子は、シュンと気落ちしながら俯き始めるのだ。と、言う事はしないのだ。(笑)




