第52話 翔子の決意! (3)
「うん、結構一樹は、子煩悩だよね。美紀さん」
「うん、そうじゃねぇ。一君のイメージだと。以前は直ぐに私の事を怒る。叱るから。洋子に対しても厳しい。厳格のある父親じゃろぅ。なるじゃろぅと、言った。イメージと先入観があったんじゃけれど。一君は洋子だけじゃなくてぇ。私にも以前と比べて優しいから正直驚いちょるぅんよ。翔子さん……。じゃけぇ、余程エルさんの、一君への教育、しつけがえぇのかなぁ? と。私思ってしまったけぇ」
「そうなん?」
「うん、そうじゃけぇ。翔子さん」と。
美紀の奴がクスクス微笑みながら翔子へと告げれば。
「洋子ちゃん。パパは優しいよね?」と。
やはりエルが、美紀のようにクスクス微笑みながら、僕の膝の上に座りながら周りの様子を窺う。
そう、自身の母、義理の母達の会話、話しを聞いていた洋子に、エルが問いかければ。
「うん」と。
我が家の長女様は、頷きながらエルへと言葉を返すと。
「そうなんじゃ、以外だった。私は一樹の事じゃけぇ。直ぐにグチグチと口煩く文句、不満を事ある毎に告げ漏らしてくるじゃぁろうと思っとったけぇ」と。
翔子の奴が、夫になる僕と、言うか?
もう既に、僕は夫なのかな?
まあ、そんな立場。我が家の大黒柱になる僕に対して、大変に失礼極まりない言葉を平然と告げる。
それも苦笑を浮かべながら言葉を漏らすから。
僕はムッと、不満のある顔をしていたら。
「一樹ー! そんなに不満、不快感のある顔をしないの……。ねぇ、洋子ちゃんからもパパに言ってやって、直ぐに拗ねないの」と。
エルの奴も翔子と同じく、苦笑を浮かべながら洋子に、拗ねている僕を慰めろと告げるから。
「パパ~。拗ねたらだめだよ。わかった?」と。
自身の長女。可愛い娘に、僕は諫められたから。
「はい。はい。わかったけぇ。洋子。パパはもう拗ねる。怒ったりせんけぇ」と。
『はぁ』と、溜息を漏らすように呟けば。




