第27話 ちょっと起こしてみますね(1)
「……あ、あの、き、君……。起きて! 起きて! 起きてくれるかな、君……」
僕はマツダのボンゴの後部座席に横たわる大きな笹のような耳を持つ、金髪の金星人さんの身体……と言っても、鋼の甲冑越しに手を当て──。金星人さんの身体を揺らしながら起こしてみた。
しかしこの通りで、金星人は死んでいるのではないか? と僕が不安になるほどピクリ! とも反応を示さない。
だから僕は彼女の唇へと、自分の耳をソォ~と近づけて、金星人さんが息遣いをしているのか? 確認をしてみることにした。
「すぅ、すぅ」
すると、先ほど一緒で金星人さんがちゃんとした息遣いをしていることに僕は気がついた。
だから僕はほっと胸を撫でおろした。
《パクリ!》
僕が彼女……。金星人さんが息遣いをちゃんとしていることにほっとして、よかった! と思い。彼女の唇から耳を離そうとすれば、この通りだ!
寝ている! 睡眠している! ものだと、ばかり思っていた金星人さんの唇がピラニヤのように開き──。僕の耳を噛みついてきたから。
「うぎゃぁあああああああああっ!」
僕は驚愕しながら絶叫を上げた。




