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第51話 娘の魔法に驚愕! (3)
「えっ! あっ! うん、そうじゃねぇ。一樹の言う通りじゃねぇ……。私、自身のお腹の中にいるこの子を降ろしたくはないしねぇ……」と。
翔子の奴は、俯きながら、自身のお腹を優しく撫でながら呟く。
「でもね、一樹?」
「……ん? なんじゃ、翔子?」
「私ね、一樹。私のお腹の中にいるこの子と別れて暮らしたくはないの。だからね。エルさんに産まれたこの子を渡してくれと言われても渡したくはない。と、言うか? この子が産まれても渡す気はないけぇ、一樹。悪いんじゃけれど。本当に御免ね。だから苦労する。大変かも知れんけれど。私は一人でこの子を育てるけぇ」と。
翔子はやはり、自身のお腹を優しく、愛おし気に撫で、触りながら僕へと自身の決意を告げてきたのだ。
だけど僕が翔子に言いたい、告げたい事は、そんなことではなく、この日本の法律ではなく、エルが産まれ育った世界の法律に合わせて、皆、家族一緒に仲良く暮らそうと告げているだけだから。




