第48話 自宅にて……(3)
美紀が急に泣き、嗚咽を漏らし始めだしたのだ。
僕の膝の上に大人しく洋子が座っている最中だから、美紀には泣いて欲しくはないのだけれど。
美紀が泣き出したから本当に困ったなぁと、思っていると。
「一樹?」
「……ん? 何?」
「美紀さんの事だけれど」と。
エルが僕へと尋ねてきたから。
「うん、エル。美紀がどうかしたの?」と。
僕は自身の横に座るエルへと首を傾げながら言葉を返すと。
「一樹が美紀さんの件で、私に気を遣っているようならば。私に対して遠慮等しなくてもいいからね。ちゃんと美紀さんも、一樹の妻、妃として扱ってあげて、お願いだから。一樹……」と。
エルは夫の僕へと告げてきたのだ。
「本当にいいの、エル?」
「うん、いいよ。一樹……。ねぇ、洋子ちゃんもいいよね? パパとママが仲良くするのは、問題はないよね?」と。
エルが僕の膝に座っている洋子に尋ねれば。
「うん」と、洋子は頷く。
でっ、頷き終えれば。
「パパ~。ママも大事にしてあげて、お願いだから」と。
洋子が上を、僕の方を向きながら心配そうな顔。
そう、洋子自身の母である美紀の事を心配、身を案じるような顔をしながら、父親である僕へと嘆願をしてくるのだ。




