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第42話 娘? (5)
僕の妻であるエルの後ろ、後方で、自身の身を隠している美紀の奴なのだが。
この通り、ちゃっかりとしている、と言うか?
美紀が産んだ子供、娘は、僕の子供なのだからと、妻的振る舞いで、家の両親の事を、今迄のような呼び方。
『おじさん』、『おばさん』ではなくて、『お父さん』、『お母さん』と呼ぶから。
僕は更に不快感を募らせてしまうのだ。
だって僕の両親の事を『お父さん』、『お母さん』と呼んでいい女性は、エルだけだから。
美紀の奴に、家の両親の事を『お父さん』、『お母さん』と、呼ばれると。
僕は無性に腹立って致し方がない。
それにさ? 僕の妻であるエルにしても、美紀が両親の事を『お父さん』、『お母さん』と呼んで、不快感が募ると言う事はないのだろうか?
僕自身は、己の首を傾げたくなる衝動に駆られそうになるよ。
「……一樹、なるわよ。辺り前の事じゃない」




