第19話 エルフな勇者さまは、鋼の乗り物を見て驚きます! (20)
でも、そんな挙動不審な行動とる。顔色を変えている。僕のことを美紀は、他人が見ても『可笑しい?』、『どうしたの?』と、思う。呟きたくなる行動を何故とるのか、自体は、アイツは元カノだから承知なのだ。
だから元カレの僕のことを、『フフフ』と、声こそ出さないが嘲笑うように、目を細め見詰めているから。僕は相変わらず蛇女に冷ややかな目で睨まれている蛙状態……。
下手なことを美紀に言う。告げる。それも? 『お前なぁ~』、『ふざけるなぁ~』、『何、儂のことを調子げに、見よるんやぁ~』、『ふざけちょるのか~?』、『元儂の女じゃからと言ってぇ、ふざけた態度をとるなよぉ。お前はぁ~?」と。
美紀の奴に荒々しく告げる訳にもいかないから。僕は冷や汗をかき、垂らしながら。俯くことしかできないでいる。
「一樹、行こう……」
そんな様子の僕の二の腕を掴んでエルが急かすように、実家の玄関先へと向かい始めたから。
「えっ? うん」(助かった)と。
僕は呟き、脳裏で安堵感に浸るのだよ。この時点では、エルがまさか、美紀のことで憤怒、怒りを募らせていることなど僕自身は、知らない。わからないからねと。
美紀の奴が僕達夫婦の行動を見て、『フフフ』と、不敵に苦笑を浮かべ、漏らし。火種を落とし。巻こうとしていることも。僕達夫婦は気が付く。悟ることもしないで玄関先へと向かっていくのだった。
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