第19話 エルフな勇者さまは、鋼の乗り物を見て驚きます! (17)
「か、一樹! あ、あんたは一体。一体何をぉ! ッて。あ、あんたは、が、外人さん」と。
家のお袋が驚愕しながら声を大にして叫べば。
「山本さん家の一樹君は相変わらず突拍子も無いと、言うか? 今度はハイカラな女性を」
「ええ、本当に。本当……」
「こ、今度は外人さんよ。外人さん」
「金髪碧眼の女性と車中で器用良く運転をしながらチュ、チュしている。一樹君が……」
「外人さんは、本当に何処でもかしこでも、挨拶代わりにキスをするんだ。映画みたいに……」
「凄い! 凄い!」と。
未だ昭和の時代だから外国の人達に対して、こんな偏った思いや偏見があったと思うのだよ。今の令和のお年寄りの人達はね。
特に広島は、岩国、岩国の米軍基地、ベースが近いから。尚更こんな感じなのかも知れない?
だって僕が岩国市にあるショッピングセンター販売ブースで菓子や珍味、乾物などの販売をしていると、岩国基地の若い兵隊達さんが、彼女を連れ、平気、平素、素知らぬ振り。全く他人、人の目も気にしないでキス、接吻、チュチュしている様、様子を僕も仕事の最中、何度もお目にしているし。その都度、「(外国の人達って、スゲ~。スゲなぁ~)」と、脳裏で呟き、驚愕をしたことがあるくらいだからね。
家のお袋も含めて、近所のおばさん達、淑女、お姉さま達も大騒ぎ。ワッと、騒めき始める。始めたのだと思う。
でも、そんな喧騒の中を僕は、素知らぬ振りを装い。エルとのキスをやめて、Nコロを家の前の駐車場へと停車すると。
エルは慌てて、Nコロから降りて、家のお袋と、近所のおばさん、奥さま達がいる前へと移動。着けば。自身の顔、雪のように真っ白い肌を真っ赤に染め、赤面をしながら深々と頭を下げ。
「す、すません、でした」、
「た、大変に変なところ」、
「私達夫婦の見苦しいところを見せてしまい。大変に申し訳ございません」と、謝罪を告げる。
でっ、告げ終えれば、今度はね。
「一樹の、このひとの妻になりました。エルと申します。今後は夫共々、宜しくお願いします」と、告げ始める。




