3ー7
お待たせ致しました。
次回も誠意執筆中です。
私が見た場面を、椅子に座りながら、説明していきます。皆さん、真剣な面持ちです。
依頼人さんも聞いていますが、まぁ、問題ないでしょう。
「・・・成る程ね、最後だけが違ったと」
最初の発言は、雅くんでした。龍崎さんは、何かを考えていらっしゃるようですし、矢上さんは、何処か納得の表情でした。
「ねぇ、それってさ? 着物は今でこそ幸せの花嫁衣装だけど、最初はどうなったか、分からないんだよね?」
「はい、見ようとしたら、弾かれてしまいました」
泣きながら、必死に隠そうとする、あの着物の方は、何を思っていたんでしょう? チラリと、冴子さんを見てみれば、先ほどまでの穏やかな笑みが、消えていました。・・・・・あら?
「冴子さん・・・?」
わたしが訝しげに、冴子さんを見たからか、直ぐに雅君が動きました。
「いなくなってる?」
先程まで、確かに居たはずの霊の方がいません。私は現在、眼鏡をかけたままです。それでも、まとう雰囲気が違うくらいは分かります。龍崎さんが冴子さんの目の前で、手を振ってみますが、反応がありません。
「一時的な後遺症でしょう、豊穣さん、このままともいきませんし、彼女は部屋で休ませて下さい、少ししたら、落ち着くはずです」
「分かりました、君、冴子さんを部屋へ」
依頼人の豊穣さんの指示で、年若いメイドさんが、冴子さんを支えながら、部屋を出ていきました。勿論、お札を入れた御守りを、彼女には渡しておきました。また憑依されても困りますから。
「さて、着物の方だが・・・彼女が何処へ行ったか、視て貰えるか?」
龍崎さんに言われて、勿論、私は直ぐに眼鏡を外しました。視界には、先程まで見えていた、あのキラキラした糸は見えませんでした。着物は、変わらずにキラキラしていますし、変わりはありません。
「内側に戻られたようです、やはり先程の何かが、彼女を警戒させているようです」
こうなると、やはり、昔の情報が欲しくなりますね。
「あの、豊穣さん、着物の謂れを、何かご存知ではありませんか?」
しばらく考えていた豊穣さんですが、困ったような表情でした。
「私は、親戚筋から、借金の返済の代わりに、これを買い取った事にした、だから謂れをと言われても、幸せの花嫁衣装としか、実は知らないのだよ・・・数百年は経っているとは聞いたが・・・」
これは、情報部待ちの予感です。さて、どれが最善の道なんでしょうか?
◇◇◇◇◇
水島くんと、白木の提案通り、九十九神に聞き込みをしたら、案外あっさりと幾つかに特定できた。
あら、これならすんなりと解決かしら・・・? 悩んでいたのが、バカらしく感じるわ。
「あれ、聞き込み・・・なのかな・・・?」
「いやっ、あれは脅しじゃ・・・」
「そこっ、コソコソ煩い! 聞こえてるわよ!」
ちょっとお札を見せただけじゃない。失礼ね、まったく! お祓いをしてないんだから、聞き込みで十分よ!!
イライラしていたら、穏やかな声がした。清流院ね。風流な彼は、まさに水面のようだわ。
「榊原さん、特定をしてしまいましょう」
「そ、そうね」
どうにも、自分のペースが乱れるわ。まぁ、イライラしてやる仕事じゃないから、助かるけど・・・。
とりあえず、館長たちには断りを入れ、手袋をつけてから、特定した物を、慎重に借りた部屋へ持っていく。流石に、貴重な物たちばかりだから、館の外へは持ち出しは出来ないの。
「これで全部ね・・・」
柔らかい布に置かれたのは、全てが何かしらの曰く付きらしい品物ばかり・・・。しかも、九十九神たちが嫌がるくらい、闇が濃いのも事実な、厄介な品物ばかりだわ。
「うわぁ・・・」
初めて、生々しい負の力が宿った品物を見たらしい、水島くんは、顔を盛大にしかめているし、白木は引いていた。多分、色々と見えちゃったのかも? 例え、手袋越しでも、力を持つ者は、稀に見えてしまう事があるから。
「・・・いやはや、これは中々」
清流院は表情こそ、穏やかなままだけど、警戒してるわね。勿論、あたしも。あの若手二人も、反応は素直だけど、警戒はしているから、大丈夫でしょう。
「さて、どれが本命かしらね?」
中々お目にかかる事がないくらい、見事な品物なんだけど、やはり全部が曰く付きだけあって、力あるあたしたちは、触りたくないレベルよ。
「うーん、どれも可能性があるわよねぇ?」
改めて。右側から、見事な一振りの刀、懐刀、印籠、そして、キセル。恐らく、全てがかなり古い部類の物だ。
「うわぁ、僕は近付きたくないです・・・」
「だよなぁ・・・あの二人が変なんだって・・・」
若者二人は、此方には近寄ってすら来ない。まったく、こいつらは仕事を何だと・・・!!
「まぁまぁ、榊原さん、あの二人は置いといて、特定致しましょう、物の過去ならば、椎名さんが居れば良かったのですが、居ませんし・・・榊原さん、お願い致します」
穏やかな言葉だが、一部、いらない言葉を感じた気がした。これだから、清流院は苦手なのよ!
「でも、どれも凄いよなー・・・今まで、よく何も起きなかったよ」
白木の言葉は、感心した響きがあった。確かに、それは同感よ。白木の隣に居た、水島くんも、うんうんと頷いている。
「直接、触ったら、危険ですよねー」
ケロリとした顔で、恐ろしい事を言ってくれたわ! あたし、今から、触って、鑑定するんだけど・・・??
「・・・・・どうしようかしら?」
今の発言で、不安になっちゃったじゃない!!




