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長らくお待たせしました。申し訳ないです。
side:神戸 美鈴
「あの日、貴方が亡くなった日、何が起きたのか、話してくれますか?」
混乱しているらしい被害者の女性は、何とかといったふうに頷いてくれました。
『わ、わたし、あの日、いつもの時間にここに来たんです、私の駐車スペースは、ここって決められていて・・・・・、そしたらあの人がここにいて、ビックリしたんです、隠れるように後ろの席に乗ったのは、右のミラーで確認できました、いつもはそんな事ないし、あの人は、いつも助手席だったから、違和感があったの・・・、会話しようとしたら、いきなり・・・』
死ぬ直前を思い出したからか、顔色が悪いです。まぁ、既に亡くなっている訳だから、あくまで見えるだけ、なんですけれど。
「落ち着いてください、貴方の証言で証拠があれば、犯人を逮捕できます、何か覚えていませんか?」
『あっ、そうよ! 確かあの時、暗いから外が全然見えなかったの、わたし、暗いから、車の中にライトを付けたのよ、そしたら中が反射して見えなかったのよ』
「あら、それだったら、来ていた車の人が気付くんじゃない?」
真由合さんがツッコミますが、無理でしょう。
「それは無理ですよ、彼女の車は、距離が離れていて、外からも、中からも、見れなかったはずです、ここ、駐車場の真ん中よりも、外に近いくらいですよね? 奥に止めている同僚の女性は、メイクをする為にライトを付けていたはずです、外は見えませんよ、遠すぎて死角になったはずですし」
勿論、彼女が犯人ではない場合によりますが。
「他には?」
聞いてみますが、彼女も混乱しているみたいで、どうやらこれ以上の会話は無理なようです。
「弱りましたね、ヒントがあれば良かったんですが」
まぁ、少しヒントがあったので、そこは良かったんですが。
「犯人だれなのよ!?」
真由合さんは分からないからか、不機嫌です。後は雅くんが持ってくる情報次第ですね。
『あの人、何で・・・』
泣きそうな彼女が可哀想で、犯人に怒りがわきます。当然でしょう。彼女は、命を落としたんですから・・・。犯人のせいで。
「それにしても、彼女、綺麗よね・・・」
真由合さんの呟きは、多分、彼女の顔立ちの事でしょう。清楚な顔立ちの彼女は、死んで霊になっても、そこは失われていません。逆に儚さが追加されて、更に磨きがかかった気がします。
生前、かなりおモテになったことでしょう。まぁ、色々と揉め事もあったようですが。
「美人薄命とは言ったものですね・・・」
ポツリと、無意識に出た言葉でした。どう考えても、巻き込まれたとしか思えないのです。自分勝手な理由で、人を殺す。そんな犯人を、私は許せません!!
「そうね、・・・犯人は許せないわ」
「えぇ、絶対に捕まえます・・・私は探偵だから」
それが彼女にとって、一番の供養になるはずですから。犯人を捕まえて、心残りを消してあげなければ。彼女の魂を、いつまでも現世に残す事になります。それは、いけない事ですからーーーーーーー。
◇◇◇◇◇
side:竜前寺 雅
中に戻ると、何だか変な事になってた。真由合は不機嫌丸出しだし、美鈴は静かにお怒り中だし、幽霊さん、もとい被害者は泣きじゃくってるし・・・・・何があったんだろう?
勿論、困惑したのは僕だけで、見えてない高瀬さんは、そのままだったけどね。空気が重たいよ。
「美鈴、どう? 何か分かった?」
期待混じりの声で、高瀬さんが美鈴に問いかけた。いや、高瀬さん? 貴方、美鈴の従兄だよね? 何で怒ってる美鈴に、普通に声をかけられるの!? 僕だって、空気読むよ!?
「そうですね、昼間からこの暗さですし、犯人は計画的に犯行に及んだみたいです、犯人は、よほど彼女に生きていてもらっては、困る存在なんでしょうね・・・・・この朝の静けさを、汚したんですから」
何だろう、美鈴の説明に、とてもトゲを感じる。被害者さんは、あまり、証言をしてくれなかったのかな?
「ゆう兄、容疑者の写真ある?」
美鈴の目が、怖い。何だろう、言い表せない恐怖を感じる。不機嫌丸出しの真由合も、この謎の気迫に、少し後退りしてた。多分、美鈴は無意識何だろうけど。
「あるが・・・、何か気になる部分でもあるのか?」
怪訝そうにしつつも、スーツの内ポケットから、何枚かの写真を取り出す。高瀬さんは、あまり美鈴に関わらせるつもりはないのかもしれない。
だって、最初から、違和感があった。知識を貸してくれ、謎を解いてくれ、って感じだけど。写真や物などは、ほとんど見せていない。聞いたら答えるスタンスだった。深入りはさせない、多分、それが高瀬さんのギリギリの許容範囲なんだろう。これで頼まなければ、良かったんだろうが、まぁ、これは仕方ないのだろう。
「ちょっと気になる事があるの」
そう、美鈴が言って写真を受けとるが、ここは暗い。明るい場所に動くと、被害者も一緒に付いてきた。・・・・この場合、憑いて来たが正しいのかもしれないけど。少し透けて見える被害者は、泣いているからか、目が赤い気がする。幽霊も、目は赤くなるらしい。
「やっぱり・・・」
美鈴が、ある一点を見ている。被害者も、写真を覗き込んだ。そして、ある人物を指差して叫んだ。
『こいつよ! 私を殺したのは!』
残念ながら、幽霊の彼女の叫びは、僕と美鈴、真由合さんしか聞こえない。つまりは、高瀬さんだけが、分からない。
思わず、急に耳の近くで叫ばれて、僕らは耳を押さえる。いきなり同じ行動をしたせいか、高瀬さんがビックリしてた。
「な、何かあったか・・・?」
かなり驚いたみたいだ。ギョッとした顔を見た美鈴が、小さく吹き出した。高瀬さんの顔が、面白かったらしい。
「ちょっと凄い音が聞こえたのよ」
「はぁ? 何も聞こえなかったぞ?」
「年なんじゃない?」
「俺まだ28だぞ!?」
あぁ、確かに僕らの中では年長だろう。僕と美鈴は10代だし、真由合も若いからね。美鈴、年で通す気満々みたいだ。
実際、年を取る毎に、聞こえる音域が少なくなっていくので、嘘ではないが、いいんだろうか? 高瀬さん、十分若いよね?
「はぁ~~~、で、犯人は分かったか?」
色々と言いたい事はあったみたいだけど、全て飲み込んで事件解明を優先したのは、刑事の鏡だろう。凄いよ、高瀬さん。
「うん、時間トリックも分かったよ、犯人はこの人」
美鈴は静かな口調で、写真の一人を指差した。
「詳しく調べたら、面白い事が分かると思うよ」
目が、怖かった。ただ静かに、その人物を見ている目は、全てを見通すかのようで、僕はその目から、視線が離せなくなる。ふと、美鈴が眼鏡をつけた。光に反射して、目元は見えない。ただ、何となく、悲しそうな雰囲気が気になった。
「そうか! ありがとう、美鈴! これで親父やじーさん達に、どやされなくて済む!」
かなり嬉しそうな高瀬さんを尻目に、僕は美鈴が気になった。さっきの悲しげな姿が。
「あ、三人とも送るね! これで事件は解決だ!」
ただ一人、高瀬さんがハイテンションで、浮いて見えたけど。多分、彼にとっては、この事件で色々あるからこその、このテンションだと思うと、止めるに止められない。
「終わったわね」
真由合の言葉が、全てを物語っていた。
お読み頂き、ありがとうございます♪
ようやくここまで書けました☆
犯人は、分かったでしょうか? 秋月、頑張ってみました。
次回からは、この続きになります。犯人暴露は、もう少し先です。お楽しみに!
只今、企画をしております。興味のある方は、秋月の活動報告まで。




