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次回は誠意執筆中です。
Side:竜前寺 雅
ようやく見つけた美鈴は、物語のヒロイン宜しく、危機的状況下だった。どうしてこう、次から次へと面倒事が来るんだろうか?
「真由合さん、取り敢えず、あの悪霊は倒していいよ、あそこまで堕ちると、手の施し用が無いからね」
先程から、膨大な霊力が放出され、近くにいる僕や龍崎にとっても、はた迷惑だしね。というか、真由合? 少し前に、かなりの霊力を放出したよね!?
「あら………、ウフフ、鬱憤が溜まってましたの、喜んでさせて頂きますわ〜」
青白い光の下、妖艶に微笑みを浮かべる真由合は、中々に怖い。本当に、怒らせたくないや。
「龍崎、悪いけど、真由合さんのサポートを頼んだよ、―――――僕は、あの馬鹿二人を見てくるから………………」
そこからは、かなり早かった。真由合さんの力強い霊力に、悪霊の注意がそれたからだ。僕はその中を、龍崎にサポートされつつ、美鈴達の元へ。
「美鈴、怪我はない? 勝手に居なくなったらダメだろう! この馬鹿息子と、仲良く死ぬとこだったんだよ!?」
最初は落ち着いていれたけど、後半からは怒りが湧いてきた。本当に危なかったんだ。もし後5分でも到着が遅かったら………………。そう考えただけで、ゾッとする。
「雅くん…………ごめんなさい、辺りを少し確認したら、龍崎さんと合流するつもりだったの、でも、気付かないで二人で穴に落ちてしまって……………」
視線を下に向けて、凹んでいる美鈴に、怒りが段々と小さくなっていく。でも苛々はあるわけで。近くで伸びているアホ、もとい馬鹿息子を睨み付ける。こいつが原因だからね!
美鈴も僕の視線に気付いたのか、ハッとしたように、美鈴が馬鹿息子を見る。
「あ、颯太さん! 雅くん、颯太さん、頭を打ったかもしれないんです! どうしよう…………」
普段は冷静な美鈴の、慌てた様子に、仕方なく近寄って脈を見る。首筋を嫌々触って確認したら、ちゃんと脈は動いているから、気を失っているだけみたい。けど、辺りは岩場。頭を打っていたら、危ないだろう。
「仕方ない………あんまりやりたくないんだけど」
山登りの為に、子供用サイズのリュックサックを背負っていたんだけど、そこから御札を数枚、取り出す。
「雅くん、それは…………?」
キョトンとしてる美鈴は可愛い………ゴッホン。この御札は、体の不調を発見する効果があるから、術で見る事が可能なんだけど…………。
「不調を見る御札、ちょっと様子を見るから、待ってね」
集中するんだけど、美鈴のキラキラした視線が気になる。そういえば。
「ところで何で美鈴達は、こんな奥まで来たの? 普通の人は、この光が見えないはずなんだけど…………」
「私は、颯太さんを探していたんです、……………でも、そうですよね? 何で颯太さん、こんな奥にいたんでしょう?」
あれ? 美鈴とバカ息子は別々に、先に進んだって事か? 美鈴は、眼鏡を外したり、ブレスレットに光を灯したりして、ここまで来たようだ。
それじゃ、バカ息子はどうやってここまで来たんだ? あいつ、一般人だよな? 真っ暗闇の中、美鈴より早く、最奥に来れるものだろうか?
「美鈴、彼はとくに怪我はないようだよ、少しかすり傷があるくらいかな」
そう教えてやれば、ホッとした顔をしていて、その顔が何とも、光に照らされて美しくて、まるで慈愛深い女神に見えて……………いや、言い過ぎかもしれないが、あまりに美しくて、見とれた。
「ありがとう、雅くん…………怪我が無くて良かった」
そう言って、視線がバカ息子に向いたから、何だかイラッとした。………………よく、分からないけど。
スッと視線を避けて、真由合に視線を向ければ、そちらは戦いも大詰めを迎えていた。浄化では無くて、殲滅ならば、遠慮はいらないのだから、当然だろう。
「龍崎、バカ息子は頼んだ、僕も美鈴も真由合も無理だし、それにちょっと気になる事がある、拠点に戻ったら、情報部に電話でお願いしないと」
僕の推理が正しいなら、あの家の怪異は、明日で消えるはずだ。
と、思考の殻に入っていると、向こうの方から、飛びっきりの怒声が響いてきた。
「さっさと成仏しなさいっ!!」
真由合さんの怒鳴り声であるが、それと同時に、凄まじい破壊音が辺りに響く。
「「あ………」」
僕と龍崎の声が重なった。凄まじい断末魔と共に、悪霊は霧散したんだけど………………。退治するのはいいんだけど、退治の衝撃で、凄まじい爆風と土砂と水が僕達に襲ってくる。咄嗟に庇うように僕達、正確には僕の前に出た龍崎も、皆揃って巻き込まれた……………。髪からは水滴と、何やらジャリジャリした触感があり、現状を起こした本人をキッと睨み付けようと、捜し回ると……………未だ煙が漂う場所に人影が。しばらくして晴れたそこには、間違いなく、満面の笑みを浮かべた、真由合の姿。沸々と煮えたぎるこの怒り、本人にしっかりと返させてもらおう!
「真由合さん……………、僕等を殺す気!? こんな場所で、爆発系の呪文なんてぶっぱなさないでよっ!!? 死ぬとこだったんだよっ!!?」
僕の怒声が、洞窟内を響いていく。いい加減、時と場所を考えて、行動してくれないだろうか。いや、龍崎が慎重派だから、これでいいのだろうか?
「あ、あら? すいません…………ちょっと、威力を間違えてしまって、オホホ………」
苦笑いが、引きつってるから、多分、深く考えなかったんだろうね。こんな事なら、龍崎に任せれば良かったかも。
と、ゆらりと立ち上がった龍崎。それを見た僕、そして横に居て見てしまったらしい美鈴からも、息を飲む音がなる。
龍崎の目が、据わっていた―――――。
「榊原………、次は無いと思え」
冷え冷えした龍崎の声に、流石の真由合さんも、顔色を変えていた。普段なら、違うメンバーが取り成してくれるけど、そのメンバーは残念ながら居ない。
仕方ない、僕がやるしかないか……………。
「二人とも、いつまでも睨み合ってないで、帰るよ……………次が来たら、シャレにならないから」
そう、ここは霊脈の上なんだよ。次のが流れて来たら、マズいからね。真由合さんも疲れてきてるし、龍崎はバカもといアホ…じゃなかった。依頼人の息子を背負っているから、戦力外。美鈴は………戦力外かな? 僕も多少は戦えるけど、二人はいい顔しないから、早くここから出よう。外では和葉さんが、今か今かと待っているはずだからね。
帰りは、驚く程何も無く、行きよりも早く僕達は外に出れたのだった。
◇◇◇◇◇
Side:美鈴
外に出ると、既に当たりは薄暗く、西の空が仄かに黄昏の名残があるだけでした。何とか手元が見えるくらいで、用意周到に迎えに来てくれた皆さんの懐中電灯のお陰で、何事も無く、お世話になっているログハウスに到着しました。
本当に申し訳ないです。
「皆さん、無事で何よりです! 美鈴ちゃん、怪我はない!? 本当に心配したんだから!」
帰ってすぐ、私は外で待っていた和葉さんに、抱き締められました。
「すいません、和葉さん、ご心配をおかけして…………」
私と和葉さんが会話をしているうちに、気絶した颯太さんの姿に、ご家族が驚いている姿が視界の端に映ります。
和葉さんに断りを入れて、私は今回の依頼人であり、颯太さんのご両親に頭を下げます。
「危険な目にあわせてしまった事、申し訳ありません! もっと、注意をしていたら、こんな事には……………」
最後まで言う前に、涙が滲んで来ます。多分、甘え過ぎたんです。危険な事なのに、私は注意を怠ったのです。だから、こんな危険な事になったんです。
「頭を上げて下さい、どうやら今回は、うちの颯太が逆に迷惑をかけたようです……………此方こそ、申し訳ない」
え? 逆に頭を下げられて、此方が驚きました。意味が分からず、固まった私に、和葉さんが助け船を出してくれました。
「颯太さんが、我々に協力していた事、ご両親には言ってなかったようで、説明したらご両親揃って頭を抱えてましたし……………命に関わる事なんですけど、それすら伝わってなかったみたいですよ?」
それには、此方が驚きました。颯太さん!? 説明しましたよね!? 何をやってるんですかっ!!
「それに、颯太さん、裏に穴があるの知っていたようですよ?」
……………………はい?
思わず目が点になりました。それでは、穴に落ちたのはよしんば事故だったとしても、颯太さんが説明を怠ったからだと言う事で……………。
と、ちょうどソファーに横たわっていた颯太さんが目を覚ましたようです。
「あれ? 何でこんな場所に?」
混乱しているところ、大変申し訳ないですが、言わせてもらいます!!
「颯太さん? 裏に穴があったの、知っていましたね?」
思った以上に、淡々とした声が出ました。辺りはギョッとしてましたが、些細な事です。
私の質問に、最初はキョトンとしていた颯太さんも、やっと理解したのか、視線を彷徨わせ、あーだのうーだの、意味のない言葉を呟いては、暑いのか、汗を流しています。
「どうぞハッキリと言って下さいね? 今回は、皆さんが迎えに来なかったら、本当に死んでいたのですから」
私がそう説明すると、驚いたように目を見開いて、ようやく実感が湧いたのか、下を向いてしまいました。
「…………ごめんなさい、あんな事になるなんて、思わなかったんだ……………軽い気持ちだったんだよ」
更に言葉を重ねようとした私は、袖口を引っ張られて、そちらを向くと、静かな目の雅くんと、目が合いました。
「美鈴、気になる事がある、怒るのはご両親に任せて、先に聞いていい?」
まだ釈然とはしませんでしたが、雅くんの有無を言わさぬ視線に負けて、私はその場を譲りました。
「まず、颯太さん、貴方、霊が視えているでしょう?」
単刀直入に、いきなり聞いた雅くんの姿に、流石に目を見開いて驚きました。
「あの穴の先は、普通の人には、真っ暗なはずなんだ………………、僕達、視える者達は、あそこは明るく見えるけど、君は随分先まで灯りの無い中、歩いていたよね?」
そう、私も気になっていました。眼鏡をかけていた私は、真っ暗な中を歩きましたが、仄かなといえど灯りを用意しなければ、歩けない程の暗さでした。丸腰に近い彼が、何も用意しないで歩ける場所ではなかったのです。
「それは……………はぁ、バレルとは思ってなかったなぁ、うん、僕は視る力がある」
観念した様子の颯太さんは、困ったように笑っていました。
お読み頂きまして、ありがとうございます♪
本日は新たな情報が出ましたね。これで、大体半分位の情報が出ました。残りは無くても、推理が可能ではあるのですが、はたして推理が出来た方はいらっしゃいますか?
前に、半分正解の方がいました! 違う方を見てしまった為に、半分になりましたが、かなりの推理でした☆
さて、あと数話で解答編です。皆様の推理を楽しみにしております。
では、また次回にお会いしましょう♪




