エピローグ:Final
主作品は、まだまだ続きます!
こちらもよろしくお願い致します!
田舎での暮らしも慣れた頃、ある訃報を耳にした。
ユーリナが亡くなった。
表向きは病死という扱いではあったが、誰が漏らしたのか実際の凄惨な死に様は世に動揺を与えた。
フィリア王国はこれまでにない危機に立たされている。
ユーリナの代わりに兵を率いた将軍は、これを機に攻めてきた敵軍との戦闘で討ち死に。
大臣は王を裏切り国外へと逃亡、その最中魔物の群れに襲われ死亡。
一気に力を失っていく王国。
王は心労が重なり、病で倒れたそうな。
復讐の代償はあまりに大きかった。
「隊長殿は無事だろうか……あのとき、あの方だけが私の味方をしてくれた。あの方は清き心を持った御人だ」
椅子に座り、ふとかつての上司のことを思う。
国にもユーリナにも裏切られた自分をただ1人弁護しようとしてくれた。
そう呟いたとき、サウレがそっと後ろから抱きしめる。
彼女の温もりに包まれながら、ルシフはそっと彼女の手を握った。
「アナタ……信じましょう。きっと、無事で元気に生きておられます。だって、アナタを最後まで信じて下さった方なのですもの」
「……そうだな、ありがとう」
サウレはあれから義妹ではなく、彼の"妻"として接するようになった。
最初は戸惑い慣れなかったが、彼女の強い意思に感服し、自らもそのように接することに。
サウレは本当に強い女性だ。
どんな苦難にも屈さない強かな心の持ち主。
幸せにするどころか、こっちが逆に幸せにしてもらっている。
「……サウレ」
「はい?」
「これから時代は大きく変わる……きっと、ここにだってずっとは住めない」
そう、世界の情勢は目まぐるしく変化していく。
ここにも、いつ戦火が伸びてくるかわからない。
ゆえに覚悟がいる。
共に生きて行く為に、共に生き残る為に。
「……約束する。どんなことがあっても、私はお前を守り続ける! 絶対に……この手を離さない。だから……」
そう言いかけたとき、サウレが小さく笑った。
「わかっていますよ。例え雨が降ろうと槍が降ろうと……私は常にアナタの側にいます。アナタと共に……生きていたい」
「さ、サウレ……!」
「だから……、私絶対に、離しませんからね?」
……まいった。
これではどちらが守られているのやら。
2人で笑い合う声が、外に小さく響いた。
この確かな幸せを、今は噛みしめるとしよう。
「……もうすぐお昼ですね。すぐに作ります」
「うん、私はもう一仕事してくるよ。畑仕事もようやく軌道に乗ってるんだ、しっかりやらないと」
そう言い庭の畑に行った。
本当に長閑な所だ。
今まで規律と血腥い戦場の中でしか生きてこなかった身としては、最早天国に近い。
トラブルらしいトラブルはなく、精々野良犬1匹を追っ払うくらいか。
騎士の誇りなどない。
信仰も捨てた、この点はサウレもわかってくれた。
あの日々が嘘のように遠い過去となって現在がある。
ところで、あの魔女は何者だったのだろう。
復讐が終わってから、一度も出会っていない。
礼を言いたかった。
サウレとこのように暮らせるのは、彼女のお陰でもある。
今となっては探す手立てはない。
……まぁ奴のことだ、適当に生きているだろう。
「……しばらくは晴れが続きそうだな」
ふと空を見やると、太陽が普段と変わりなく輝いていた。
騎士の頃に見ていたときとはまるで違う。
光を通して、大地と生命の喜びを一身に感じ取っていた。
「……お、風が。フフフ、旅人でも来そうな吹き方だ」
ふと、普段言わないようなジョークを呟いてみせる。
自然の中で、サウレとの暮らしの中で、ルシフは慈しみを覚えていった。
復讐に身を任せたかつての自分を洗い流すかのように。
復讐は幸せによって幕を閉じた。
1人の愛する女性と共に――――。
御精読頂き、誠にありがとうございました!
前書きでも申しましたが
主作品【魔刃覚醒 〜この世は虚ろな1人舞台。なれど生きててよかったと、君に光あれ〜】
こちらも随時更新していきます。
刀を使ったチャンバラで大暴れな女主人公の物語です。
下にリンクがございますので、こちらも是非!




