エピローグ:親衛隊隊長
ユーリナの死から数日後、彼は親衛隊の任を解かれた。
これを機に引退を決意する。
歳を取った自分に出来ることはもうないと、その日のうちに荷物をまとめ城を出た。
「ルシフ、きっと君は私を恨んでいるだろう。私は……君や戦乙女様を守れなかった無能な上司だ」
元隊長は意気消沈していたが、なんとか心を切り替える。
第二の人生、これまでとは違う生き方をしてみようと思考を巡らせた。
まぁそう簡単に上手くはいかない。
「……中々に難しいものだな。だが、これはきっと神がお与えになった試練に違いない。……畑を耕す、いやぁありきたりだ。じゃあパンを作るか? ……どうやって作ってるんだ?」
考えながら城下を歩く。
そして天啓にも似た閃きが頭をよぎった。
「……そうだ旅をしよう! ひとつの場所に留まるのではなく、まだ見ぬ世界に触れるんだ。木や川、森や山、海や風……。思い出すなぁ、若い頃は自由な旅人に憧れていた。己の気の向くままに、己のみを信じ、風のように諸国を渡り歩く……これがいい!」
彼は歓喜の意思で自らの屋敷へと走っていく。
屋敷を売り払う為の手続きを済ませ、必要最低限の物だけを持ち、旅の支度を始めた。
「さらばフィリア王国……、かつての部下達、思い出よ! 私は今このときより風だ。好きに吹き渡り、好きに去っていく風来坊……。さぁ行こう……まだ見ぬ世界が私を待っている」
王国にひとつの風が吹き去った。
かつての忠義は自由な風に。
かつての優しさそのままに。
されどかつての咎はその身に背負う。
嗚呼、風来坊よ、どこへ行く?
風の吹くまま、道続く先まで。
これ以上は、不粋にござんす。
主作品
【魔刃覚醒 〜この世は虚ろな1人舞台。なれど生きててよかったと、君に光あれ〜】
連載中ですので、よろしくお願い致します!




