#7
彼に肩叩きをしてもらったから少しだけ身体が楽になり、数学のノートの最後の方のページに遺書をズラズラと書き綴っていた。
しかし、心の中はもやもやする。
「僕、最終的にはこの世からいなくなるんだね」
「そうだ。俺は少年の亡骸を残し、魂だけをもらっていく。それが俺の報酬さ☆」
僕は真剣に話しているのに、彼はいつもとは異なり、少しふざけたような口調で返事をしてきた。
この台詞を言った彼は絶対にふざけているのか!? と思ったから――。
「どうせ、僕が死んだとしても誰も悲しまないよ」
その時、僕のシャープペンシルの芯が折れる音がした。
一瞬沈黙が流れるが、「それはどうだかなー」とおどけたような口調で彼は言う。
「「僕が死んでも悲しまない」、か……周りの人間は悲しまないにしても、少年の両親とかは悲しむと思うんだがな」
「ふっ……笑わせてくれるよ。僕が死ねば、周りは「あんな奴が死んでくれた!」と思うはずだし……明日にでも死にたいなぁ!」
僕は遺書を書き終え、学習机の背もたれに寄りかかった。
ボキボキという音が適度な疲れを伝えてくれている。
「明日か……しかし少年よ。もう明日ではないぞ? むしろ、今日になっている」
僕は部屋の時計を見ると、その針はすでに0時を回っていた。
時の流れは早いようで短いものだ。
「本当だね……明日が今日になってる。あえて、明後日って言えばよかった」
「よかったのか?」
「うん。今日は木曜日だし、明日は金曜日。2日くらいあれば、僕の学校での様子がある程度は分かるでしょ?」
「うむ……確かにそうだな……」
「そうでしょう?」
「ならば、決行は明後日でいいのか? 作戦会議とかはしなくていいのか?」
あっ、作戦会議のことを忘れていた。
それは凄くいい加減だと思われるけど、その時に考えればいいや。
「明後日でいいよ。作戦はノープランだから僕が手を叩いたり、振ったりしたら、出てきていいから」
「いい加減だな……。それが少年の要望だから、そうさせていただくぜ」
「うん。もう遅いから、僕は風呂に入ったら寝るね」
「おう。分かった」
僕は彼にこう言うと、着替えを用意し、速やかに風呂に入る。
そして、今日の学校のことを考えながら、眠りにつくのであった。
2016/12/24 本投稿
※ next 12/256時に予約更新にて更新予定です。




