#5
うーん……困るなぁ……。
私は夕食を終え、食器を片付ける。
お風呂の用意をするために部屋に戻り、スマートフォンで電話やメールが届いていないか確認して速やかに出た。
その時に人語を話すクマのぬいぐるみから何か言われたけど気にしていない。
だって、突然、生きるか死ぬか問われたら複雑な感情しかわかないし、正直言って答えるのに凄く勇気がいる。
そう思ったらどうすればいいのかだんだん分からなくなってきた。
お風呂から出てきてもそのことが頭から離れなかったため、さっぱりした気分にならなかった。
「ねぇ、決まった?」
お風呂から出てきて早々に例のクマのぬいぐるみが「決まった?」って問いかけられるから凄く困る。
ねえ、人語を話すクマのぬいぐるみよ。
私はまだ16歳だよ?
自分の未来なんかはまだ全然分からないよ。
「そんなのすぐに決められるわけないじゃん!」
「でもさ。君、本当はどうしたいの?」
「…………」
「そこから答えを導けばいいんじゃない?」
「………………!」
そっか……!
私が本当に望んでいるものから答えを導けばいいのか!
「何か気がついたかな?」
「うん! 私は今の悩みから解放されたい! 例えどんな形でも!」
あれ? もしかしてお母さんに聞かれちゃったかな?
でも現時点では私の口からは死を望むような言葉は発していないから多分セーフかなと思う。
「ならば、やっと決まったかな?」
「はい! 私はあなたと契約します! よろしくお願いします!」
「こちらこそよろしくね」
私は人語を話すクマのぬいぐるみと死の契約を結んだ。
「あとね、注意点があるんだけど……」
「まだ何かあるの?」
「結んだ契約は君が死なないと解除されないから気をつけてね」
「やっぱりそうなりますか……」
「うん。そういう決まりだからごめんね」
さて、私はこれからどうなることやら……。
2025/10/04 本投稿




