#2
私は自分で本棚からクマのぬいぐるみを持ってきたわけではない。
ぬいぐるみが勝手に動いて私の学習机によじ登ってきたのだ。
「なんで、ぬいぐるみがしゃべってるの!?」
「なんでって……ボクは「君の意志の塊」だよ」
私はそのぬいぐるみに訊いてみたけど、答えはそのように返ってきた。
「私の意志の塊」ってなんのことだろうか?
「んーとね……「君の意志の塊」というのは簡単に言うと「君の感情」というものかな」
クマのぬいぐるみが私が質問をしていないにも関わらず、表情を変えずに大雑把に答える。
私にとって、その大雑把さは分かりやすいものだったから。
「じゃあさ、私が死にたいって言ったら、何かしてくれるの?」
私は冗談混じりに訊いてみる。
その答えはあっさりと「うん」と答えただけであとからこうつけ足した。
「君が望んでいることはボクがなんでもしてあげるよ。現に、ボクと君がこうして話していることはある意味、運命なのかもしれないね」
「運命?」
「そうだよ。ボクと君はこれから契約を交わすものだからね」
私とクマのぬいぐるみ……どういう運命だよ?
しかも、契約がどうこう言っていたよね?
「ところでさ、さっき話していた契約って何?」
「ああ、それね。それはね、ボクと君が死の契約を結ぶことだよ」
「……死の契約……?」
私は何かに気がついた。
さっき、自分の名前でエゴサをしていた時にスマートフォンの画面には様々なことが書かれていたことに――――。
その頃の私の感情は「そうなるならば、自殺なりした方がいいのかな?」とか「周りにはバレないようにできないかな」などと静かに楽になることを考えていた。
そして、それが反応して「私の意識の塊」として、クマのぬいぐるみが話し始めたという謎の現象。
「何か分かったことがあったみたいだね?」
「うん。いろいろとつながってきたような気がする。ぬいぐるみが話し始めた理由とかね……」
「そうなんだ」
いろいろと分かったことかあるけど、私はまだ16歳。
この年齢で死ぬのは早すぎるから、これからもまだまだ生きたいんだけどね……。
2018/04/02 本投稿




