#13
今日は午前中だけ仕事で明日は休み。
それが私の2日間の勤務――。
よって、私の余命はあと1日半しかない。
それまでにベビー用品を買い揃えておいたりすることなどと、1人だけ慌ただしくなっている。
「あれ? これは医療用メス……誰が持ってきたのよ!?」
「すみません。それは私のものです」
「危ないじゃない!」
そうでなくても私はいろいろと忙しいのに、彼は涼しい顔をしながら明後日の準備をしているのだ。
「いろいろ買い込んできたんですね」
「ベビー用品がほとんどだけど。あとは今日の夕食のおかず」
今、私ができることはそれしかない。
あとは例のあれをやって、彼にお腹の赤ちゃんを取り上げてもらってから、わたしはこの世から去る。
ちょっと悲しいけど、死選んだのは私だから仕方がないのだ。
「本日、旦那様は?」
「珍しく帰ってくるよ」
「それはいいですね。そこに私がいたら怪しい目で見られてしまう」
「そうね。でも、私以外の人はあなたの存在を認知されないんでしょ?」
「そうですが……私の物が落ちていた場合は確実にバレますからね……」
確かにさっきの医療用メスが落ちていたら、私の旦那は確実に怒るだろうな……とわたしは思っていた。
そして、次の瞬間――。
彼は様々な医療用具が入った応診用バッグを持ち、ゆっくり立ち上がった。
「私は明後日の準備が終わりましたので、一旦ここからいなくなりますね」
「うん。分かった」
「旦那様と素敵な夜をお過ごしくださいませ」
「はい。ありがとうございます」
もしかして、彼はわたしと旦那の2人だけの時間を作ろうとしてくれたのではないかと思った。
本当に感謝しています、ありがとう。
†
「私はもう1度取材にいなかなければなりませんね……」
私が一旦彼女の家を出る理由は彼女の勤務している病院のことをいろいろと調べなければならない。
本日は彼女が半日だけの勤務だったため、病院の作りはどうなっているか、診察室はどうなっているかを確認したいところ。
「明後日がどうなるか楽しみだ……!」
すべては彼女の病院関係者の復讐するため――。
私は時間切れまでは彼女のものなのだから――。
2018/01/02 本投稿
2018/01/06 誤字修正




